君の手を引いて走れ!

□友情編
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起きたらまずカーテンを開いて小鳥のさえずりを聞きながら水を飲むことから。制服に着替えてリビングに行くとクロワッサンとカフェオレとウインナーとスクランブルエッグが用意されてる。私はそれをクラシックの音楽を聞きながらゆっくり食べるの。


―――ここまで妄想


「ご飯と味噌汁って最高だよね」


現実へようこそ。海苔とお弁当の残りの野菜炒めが今日の朝食です。時計は待ってはくれないのに私はそれでもゆっくりとご飯を食べます。


「早くしないと電車遅れるよ」

「きみは保育園遅れるよ」


電車が駅に着くまで後20分程だろう。余裕じゃないか。時計も読めないのかと言ったように10歳年下の弟を見ると逆に冷ややかな目で見られた。


テレビから陽気な音楽が流れる。やはり朝は今日の占いのコーナーを見ないと出かけられない。今日は何かいい日の予感がする。


そういえばゴーグルメガネくんと今日はどういう風にして仲良くなろうかな。最近はあいさつしておしまいだからもう少し話がしたい。


『――蟹座のあなたは気になっている人としりとりをすれば仲が良くなれるかも!』

「これだあああああ!!!」



02

「ごごご…おっおはよう!」

「ご…?あぁ、おはよう」


ゴーグルメガネくんは今日も朝から眩しい。ゴーグルで逆光して表情はよく分からないが、きっと前よりは穏やかになっているといいな。あくまでも希望。


席に着いてゴーグルメガネくんの表情を伺う。今しりとりしても大丈夫だろうか。


「し、しりとり!しよう!」


思い切って話掛けると冷ややかな目で見られた。朝もこんなことあったような。でも私はそんなことでめげたりはしない。


「今忙し「しりとりしよう!」…あぁ」


押してみたら結構あっさり承諾してくれた。ゴーグルメガネくんは何か書いていた物を閉じて今度は違うノートを取り出した。タイトルにはサッカーノート、あれ可笑しいなしりとりしてくれるんじゃないの。


「私からね!しりとりのり!」

「リンカーン」

「あああああ!!!」


瞬間的に抹殺されてしまった。その場に崩れ落ちるようにすると何故か見下されてる視線が上から降ってきているような。顔を上げるとゴーグルメガネくんはこっちを向いていなかった。


「…りんご、」

「五感」

「あああああ!!!」


それから第5戦目までしたが全てゴーグルメガネくんによって切り捨てられてしまったのは言わなくても分かることだろう。


お前等仲が良いな!なんて円堂くんに横から言われたときはちょっと照れたが無言のゴーグルメガネくんは耳が遠いのかなって思った。











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