君の手を引いて走れ!

□友情編
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時間割を確認しながら道具を詰める。そういえば英語の課題をやるのに教科書を持って帰って来てたっけ。よく思い出したと自分を褒めながら明日の準備を進めた。


まぁ持って行っても真面目に授業を受けるわけではないのだが、意欲点が欲しいので一応道具はちゃんと持って行っている。


こういうのを不真面目というのだろうかと染み染み思いながら私は床についた。



03

「おっおおおはよう!」

「あぁ、おはよう」


初日から比べれば大きな進歩だと思う。普通にゴーグルメガネくんが挨拶を返してくれたではないか。私も前に比べればあまりどもらなくなったと思う。あくまでも個人的な意見だが。


嬉しく思ってゴーグルメガネくんをガン見しながら朝のHRを迎えた。ちょっとガンつけてるように見えるかもしれないが、これはれっきとした人間観察である。


ふと、ゴーグルメガネくんの授業の道具を準備していた手が止まった。もしかしてガン見してたのを怒られるのだろうかと身構えたが、彼が漏らした言葉からするとそうではないらしい。


「…教科書が、ない」


その呟きをスコップのごとく拾い集めて私は自分の教科書を差し出す。こんなときのための私の教科書ではないだろうか。


「ごごっごー…ッ!教科書ないの!私のでよかったら貸してあげるよ!」


起立して勢いよくそう言えばゴーグルメガネくんはかなり驚いたようでゴーグルの奥で驚いているように見えた。


「お前教科書忘れたのか?俺が貸してやるよ!」

「円堂くん黙ってて!」


実はゴーグルメガネくんの私と反対方向の隣には円堂くんの席があり、彼も今の話を聞いてゴーグルメガネくんに教科書を貸す気満々に思えた。だがしかし教科書を貸すのは私だ。


「キャプテンだろうがなんだろうが教科書を貸すのは私だからね!」

「日直よりキャプテンが偉いんだぞ!」

「日直がこの世で一番偉いんです!」

「はぁ…お前等一回座れ」

ゴーグルメガネくんを挟んで口喧嘩を始めた私たちに、彼はため息をついて座るように促した。私は円堂くんには言い足りないことがたくさんあったが(日直の素晴らしさとか)ゴーグルメガネくんに言われて渋々座った。


「お前等どっちかが見せてくれればいいんだ、今日は早かったみょうじに見せて貰う」

「やったあああ!!私に任せてください!残念でしたキャプテンー!」


してやったりと私が笑うと円堂くんも笑ってくれた。多分なにも考えないで笑ってるあたりが円堂くんらしいなというか、ただの馬鹿だなって思った。


結局今日の英語はゴーグルメガネくんといつもより近くて、緊張して授業どころじゃなかった。というか昼寝どころじゃなかった。


















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