君の手を引いて走れ!

□部活編
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地区大会を突破した雷門サッカー部は前のような理不尽にグランドを追い出されることは無くなった。近未来的な稲妻を掲げた下、広いグランドでボールを追いかけている選手に目を向ける。


いつもは渋い顔をしている豪炎寺くんだってすまし顔の風丸くんだって楽しそうに汗と土塗れになりながら走り回っている。


グランド横の木の影からこっそり練習風景を観察しながら、――少し、いいなって思った。



06

「今日の練習場所はグランドだからな!」放課後部活に行く支度をしていた時に円堂くんにそう言われた。つい先ほど言ってしまったことを激しく後悔した。この時の私はサッカー部には未練はなく、走っていたほうが楽しいと思っていた。練習の休憩時間にこうやってサッカー部の練習を盗み見る前までは。


それにしてもグランドが広すぎて人がなんというか、ゴミのようというか。(何処かで聞いたことあるな)目を細めて選手を確認する。


円堂くんは分かるんだよなぁ、色違うしゴール前にいるし、それに暑苦しいし。風丸くんは爽やかだから目立つし。ふと、頭の中を円堂くんがぼそっと口にした言葉が過ぎる。


「――アイツとも仲良くなれるのになぁ…」


そういえばゴーグルメガネくんはどこにいるのだろうか。キョロキョロと辺りを見回すとベンチの方で小さなホワイトボートのような物で作戦を練っているところが視界に入った。


視界に飛び込んで来たその彼の格好を見て私は開いた口が塞がらなかった。


「ゴ、ゴーグルメガネくんが…ゴーグルマントくんに…!」


思ったよりも声が出てたらしく、近くを走っていた半田くんがこちらを向いてしまった。しまったと思ったときはもう遅くて彼の口が大きく開かれる。


「なまえ、お前…なんでそんなとこに…!」


その声で近くに居た選手が一斉にこっちを向く。それに気付いたようで円堂くんもゴール下で私に手をこれでもかと言うほど振っているではないか。


ゴーグルメガネくんもといゴーグルマントくんがこっちを向こうとした瞬間に私は持ち前の疾風ダッシュでその場を駆け出した。


(ちょ、ちょっとだけ見るだけの予定だったのに…!)


逃げ去った私の背中を風丸くんと円堂くんが嬉しそうに見ていたのは私は知らない。

















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