「すごーい!本物の雷門だー!」
可愛い可愛い雪ん子達がサッカー部に盛らがる中、まぁフットボールフロンティアに出てない私は無反応なわけで。円堂くんの「すっげー!皆俺たちのこと知ってる!」という反応に小さく舌打ちをした。多分土門?くんには聞こえてたと思う。
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小さい可愛い子に囲まれて羨ましいぞと円堂くんにガン付けていると風丸くんに「まぁまぁ」と宥められた。ずっと試合出てる風丸くんに言われても嬉しくな…風丸くん今日も爽やかでかっこいい笑顔だなあ。
校舎内に通されて「で、吹雪士郎は?」みたいな空気になるとスキーだかスケートだかボ…ボス…ボブスレー(言いにくい)に行っているらしい。サッカーしろよと思ったけどそこは雪国だから目を瞑ろう。
「あ、帰ってきたかなぁ」
小さな雪ん子の女の子が廊下に出て手を引いてきたと思われる吹雪士郎(仮)が顔を出した。かかかかかか可愛い!一気に動揺した私は、鬼道くんに軽く頭を叩かれて我に返った。
「あれ?君達は…」
「さっきの…熊殺しってお前だったのか!」
吹雪士郎(仮)と円堂くんの会話を聞いて首を傾げる。さっきのっていつだろう。なんか皆してこの子と再会みたいな雰囲気なんだけどもしかしてこれって私だけ仲間外れ…「お前は寝てただろう」…あ、そうか、鬼道くんありがとう。
吹雪士郎(仮)が自己紹介をして(本当に吹雪士郎くんでした)「よろしく」と染岡くんに握手を求めるが、それを見た染岡くんは怒って出て行ってしまった。
相変わらず短気だなぁと苦笑いする。追い掛けて行った秋ちゃんに八つ当たりしないといいけれど。まぁ彼もそこまで腐ってはいないと思うし、初期メンバーから一緒だった秋ちゃんは彼の事を良く理解しているから大丈夫だとは思う。
心配そうに出て行った扉を見つめると、下から「みょうじなまえ、さん?」と声が掛かった。なんだなんだと視線を向けるとそこには小さな雪ん子ちゃんがいた。
「私、荒谷紺子っていうの、なまえさんは選手なんだよね」
「一応だけどね。えっと、荒谷さん!」
「紺子でいいよー」
「紺子ちゃん!」
可愛い!と言って小さな彼女を抱きしめると何やら白恋イレブンの視線がこちらに集まっている。なるほど紺子ちゃんは白恋イレブンの癒しということなのだろう。
紺子ちゃんも「きゃー!」と楽しそうにしてくれているので私は満足である。ついでに近くにいた白恋のロシアっぽいふわふわの帽子を被った女の子も巻き込んでいると円堂ストップが掛かった。
「円堂くん嫉妬かい?」
「馬鹿やってるから止めてやろうかと思ってな!」
「うっ、ばーかばーか!」
余裕ぶって円堂くんの肩に手を置いてみたが、円堂くんの鋭い一言で私の心は傷ついた。無自覚ってのが一番怖いと思う。
円堂くんの背中に「ばーか!」と言っていると鬼道くんが「もう諦めろ」と言った。一ノ瀬?くんは「みょうじさんって面白いね!」とか楽しそうにしてる。鬼道くんが「馬鹿が移るぞ」と言っていたけど聞こえない振りをした。