君の手を引いて走れ!

□突撃編
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「あのね、かまくらがね」と楽しそうに話す紺子ちゃんに手を引かれて階段を降りる。するとすぐ上の屋根から雪が落ちてきたらしい。大きな音がしたので雪崩かと思った。


紺子ちゃんは震えてうずくまっている吹雪士郎くんに「雪が落ちただけだよ」と優しく教えてあげていた。彼はちょっとワケアリのようだ。



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雪玉をこれでもかと言うほど抱えて目の前の鬼道くんを見る。彼がニヤリと後ろを向いて笑うと、私はそれを合図に皆と一斉に雪玉を向こうのチームに投げつけた。


顔に雪が当たったであろう風丸くんが雪玉を投げるモーションに入った時に話しかける。この華麗な私の技を見てくれとアピールすると優しい彼は笑ってこちらを見てくれた。


「風丸くん見て!疾風ダッシュ!」

「避けきれてないぞ」

「うおお!ゴッドハンド!」


笑顔の風丸くんに雪玉を投げつけられるが、私はゴッドハンドでそれを受け止めた。ただ既に当たっただけの雪玉は意外と痛いものだ。


味方なのに私に投げてくる人もいて「チームプレイ!チームプレイ!」と私が叫ぶ。むむ、攻めにくい体制だなと思ってちらりと鬼道くんを見ると、彼は顎で相手チームを指した。「先陣を切れ」と言わんばかりの視線に私は隠し持っていた必殺技を開放するときが来たと思った。


体を大きく捻って気を貯めると皆が息を飲んだ。私はそのままツッパリのように手を出したり引いたりしてそのまま相手チームに突っ込んでいく。


「マジン・ザ・ハンドおおおおお!!」

「みょうじ良くやった、よし皆続け!」


鬼道くんの掛け声で皆上がっていく。雪玉を全部手のひらで受け止めるのは流石に辛いが、私は見えないキャプテンマークを腕に付けているような気持ちで頑張った。塔子ちゃんの雪玉が顔に命中したけど。


その後、瞳子監督から声が掛かって白恋中と練習試合をすることになった。私はスタメンかなベンチかな、とドキドキしてユニフォーム姿になって瞳子監督を見ていると「寒いんだから、上にジャージ着たらどうかしら」とファッションアドバイスを貰った。監督のお言葉をありがたく受け取って上に少しサイズの大きい雷門のジャージを羽織る。


いや分かってたけど。折角だから私も試合出たかったなあなんて考えて、そういえば私はこの前のジェミニストームはあまり役に立っていなかったっけ。仕方ないと思って大人しくボールを抱えてベンチに着席した。






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