君の手を引いて走れ!

□突撃編
3ページ/14ページ




可笑しい。私はこんなにバスに弱かっただろうか。皆が「奈良だ!」とか話している間、ぐったりとしているのは私だけだった。ちょっと皆私に気付いて。



29

とりあえずバスが停車したので、敷地の中に入るために交渉しに降りた瞳子監督の後を追うように降りる。もちろん「ちょっと外の空気吸ってきます」という断りは入れてだ。


そういえば出発が早まったのは奈良にエイリア学園が現れて総理を誘拐したからだとバスの中で聞いた。総理を誘拐して何が目的なんだろう。交渉とかだろうか。


外は観光客と警察とでなんだか嫌な騒がしさだった。私がウロウロと周辺を歩いていると円堂くんがバスから降りて走って何処かへ行ってしまった。そんなに急いで、トイレにでも行きたいのだろうか。


まだ気分が良くない私がキャラバンに戻る頃には敷地へ入れる事になっていて一体どんな手を使ったんだと思ったが、電話をしている雷門さんを見てなるほどと1人で納得した。


「気分はどうだ?」

「かかか風丸くん!大丈夫大丈…ぶ、…うぇ…」

「無理すんなよ」


壊れた鹿の像?の様な物の前に立っていると風丸くんが話しかけてきてくれた。テンションがちょっと上がって、元気アピールをするために腕をぶんぶんと振ると気持ち悪さがアップした。


皆でエイリア学園の手掛かりを探すことになったようで一斉に散らばってしまった。追いかけるように私も行こうとしたが隣にいた鬼道くんに止められてしまった。


「みょうじはこの時間休憩しといたほうがいいだろう」

「いや、でも…」

「放っておくとどこかに倒れてそうだからな」


まぁ多分どこかで倒れてますけどね、と思って鬼道くんのお言葉に甘えて壊れた鹿の下で待たせて貰うことにした。私結構辛抱出来ないから皆早く来てくださいね。


目の前のSPの人を見ながらぼけーっとしていると(気が散るだろうなあ)そのSPの人に多分同い年かそれより下くらいの赤毛の女の子が近づいた。しかもSPの人と同じような格好もしているし一体…「塔子様!」…ええええ塔子様ってえっどういう、いや塔子様って誰。


体格の良いSPがペコッとお辞儀をしているのに唖然とする。何か喋った後にその「塔子様」は他のSPを連れて何処かへ行ってしまった。それにしてもSP多いな、10人くらい付いて行ったぞ。


なんだか向こうが騒がしい気がするな。SPの後ろに座っていたため認識されなかった私は1人で立ち上がって「塔子様」の後を追った。



















次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ