君の手を引いて走れ!

□特訓編
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朝に早く目が覚めてしまった。太陽が少しだけ顔を出しているが辺りはシンと静まり返っている。皆を起こさないようにそっと外に出れば、冷たい空気が顔に触れた。


校舎の周りをジョギングでもしようかと思って軽く準備運動をする。朝食までは時間があるので少し体を動かしてお腹を空かせてもいいだろう。


「――よし、」



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朝食に少し遅れ気味に顔を出せば、頬が赤くなっている円堂くん染岡くん風丸くんが目に入って彼等も朝に特訓でもしたのかなと思った。沢山盛ってあるご飯を貰って大きく手を振ってくれている塔子ちゃんの隣に座ると、目の前には鬼道くんが座っていた。


「おはよう!」

「ああ、なんだ運動でもしてきたのか?」


鬼道くんに挨拶をすると、先程までの自分の行動をなんで知っているのだろうと思わせる返事が返ってきた。塔子ちゃんが「ほっぺ赤いなー!」なんて教えてくれたので「なるほど」と自分の冷たい頬を触った。


朝食も食べ終わり(塔子ちゃんおかわり沢山してたなあ)昨日のようにスノーボードで特訓をしていると染岡くんが吹雪士郎くんに話しかけていた。珍しいなと思ってよそ見をすると綺麗に雪玉に正面からぶつかった。


結構痛い、動けないで半泣きでいると雪の中から丁度上から降りてきた、土門?くんが引き上げてくれた。


「ちょ、みょうじさん大丈夫?」

「土門?くん、(当ってますか)」

「そうそう、土門(当たりです)」

「土門くん!」


確認のように聞くと土門くんは土門くんだった。(ちょっと日本語難しい)本人の話によると、土門くんは土門飛鳥くんと言うらしい。とてもかっこいい名前なので「飛鳥くん…!」と復唱すると「なに、なまえちゃん」と言われた。


「か、かっこいい…!」


この前の「1人でゲームセット」の言い回しも今回の返しもスマートでカッコイイと思う。なんだかプレイボーイ臭を漂わせている土門くんにへらっと笑うと不思議そうな顔を返してくれた。


近くを通った鬼道くんを捕まえて土門くん…否、飛鳥くんの素晴しさについて語ってみると(もちろん本人もその場にいます)鬼道くんは呆れたような顔をした。


「帰国子女だからな」

「え、」


言ってなかったかなんて言い出す鬼道くんに絶句する。聞いてへんがな。ざわざわと周りがグランドの方へ向かう動きがあった。私達も付いて行ってみると、なんでも染岡くんと吹雪士郎くんがタイマンを張るらしい。円堂くんに「燃えるね!」と言うと「ああ!」と元気に返事をしてボールを抱え、グランドの中央の2人の方へ駆けていった。










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