美味しそうな夕飯を目の前にして久しぶりの我が子との再会にずっと嬉しそうに笑っている一郎太を見て私もなんだか嬉しくなった。ずっと抱えられてる我が子を椅子に座らせて3人で食卓を囲む。
「いただきます」
本拠地はここからそう遠くはないのだがやはりプロリーグは忙しいのだろう。あまり戻ってくることの無かったここ2、3週間の出来事を話していく。一郎太も向こうでの事をたくさん話してくれた。
「みおちゃんは数字書けるようになったもんね?」
「凄いなぁ」
「ぱぱにもかいてあげるー!」
壁に貼ってある新しい絵や数字や謎の記号を指差して「あれとこれとー」と、みおちゃんが自慢するとうんうんと話を聞いている一太郎。家の中では流石に邪魔になるようで前のようにポニーテールにしている髪が大きく揺れた。ツインテールで結っているみおちゃんの髪と同じ水色に懐かしさを感じた。
ご飯を食べ終わって私が後片付けをしている間に一太郎がみおちゃんをお風呂に入れてくれたらしい。こういうのが久しぶりな気がしてなんだか口が緩んだ。キッチンからドライヤーでみおちゃんの髪を乾かしているのが見えた。
こういうのを見ると、ホント親子だなぁと思う。丁度ソファーに一郎太が載っている雑誌が置いてあったようでこっちを見ると少し照れていたが。
「ぱぱとままはらぶらぶなの?」
「ブッ」
一郎太の長い髪を代わりにタオルで拭ってやっているとみおちゃんがテレビを見ながら聞いてきた。指を指している先には夫婦の特集番組がやっていた。一郎太は急に聞かれたものだからなんか吹き出した。
床に座っている一郎太を覗き込みながら「えー、らぶらぶかなぁ?」と少しからかうように言うと、本人は「俺に振るか、普通」なんて言って照れていた。相変わらずだなぁ。
「らぶらぶだけど、今のでまま怒っちゃいました!」
「えーっなら、ぱぱとままはらぶらぶじゃないの?」
きょとんとした顔で聞いてくる我が子を撫でて一郎太を鼻で笑ってやると彼は両手を上げて降参のポーズをした。
「俺が悪かったって」
「許そう」
ふふ、と笑って今度はドライヤーで髪を乾かしてやる。私達のやり取りにきゃっきゃと嬉しそうなみおちゃんは笑った顔が一郎太みたいだった。そんな目の前に我が子を抱いてテレビを見ている彼の髪は長くて綺麗で羨ましいなと思いながら、夜は深けていった。
微笑ましい夜