Get your life!(ダイゴ長編夢)
□番外編 追いかける理由
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あなたがいなくなった理由なんて知らない。
「何故」なんて野暮なことを聞くつもりもない。
だって、心乱すなんて事は、この私には許されていないから。
けど、手放したくないものもあるの。
セイラお姉様。たった一人のきょうだい。きょうだいなら、こだわることも許されるわ。
―――だから。
「失礼します、カトレアお嬢様」
リゾートエリアにある豪邸の一室。ソファに座るカトレアの元にコクランがやって来た。
「コクラン…お姉様は」
「…見つかりません。ギンガ団からも、ブレーンの方々からも連絡がありませんから」
そう、と呟いてカトレアは紅茶を口に運んだ。しかし心ここにあらずといった様子だ。
「もうシンオウからいなくなったのかしら…」
コクランはきっぱりと否定した。セイラが逃げた日から船という船を張っているが、そのような連絡はない。ギンガ団から報告がないのは、サターンの指示であったが、今のところコクランはそれを知らない。
セイラが逃げた理由はカトレアには語られていなかった。常に母親が出かけている屋敷では、コクランをはじめとする使用人達だけがカトレアの話し相手だった。一番信用をおいているコクランが帰ってきても、その表情は虚ろなまま。
「まだ捜索を続けて。見つかるまでは、ずっと」
ポツリと呟いたカトレア。ついにコクランは今まで聞かなかったことを問いかけた。
「カトレアお嬢様、」
「…?」
「お言葉ですが、一つだけ教えてくださいませんか。何故、そこまでセイラ様にこだわられるのですか。接点などないではありませんか」
「接点…?あるわ、一つだけ」
それがこだわる理由。
紅茶のカップを置き、長い睫毛を伏せると、カトレアは静かに話し始めた。