Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第九話 停電王子と強制労働
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幽霊の噂話をしていた子供たちが帰った後、私はビィを抱き上げた。
「…やだ、ビィ、今の聞いた!?」
「グモー?」
「幽霊だって…。ちょっと怖いかも」
実は幽霊よりよっぽど怖い人々に追われているセイラだが、その事には気づいていない。セイラは少し冷や汗をかいた。そう思えば、暗くなりつつある海辺も少し怖い。
「あっ、でも見てビィ、ナギサはすごく煌びやかだね」
ナギサの街ほど明かりが派手な港町はないだろう。この不気味な雰囲気を簡単に壊すほどに向こうに見える街は眩しい。
「…早く行こっか、それで…」
その時だった。
「ジュペッ!!タァアァ!!」
「っ!!きゃ〜!!」
突然、黒い不気味な影が目の前に飛び出してきた。それはデンジ達が追いやったジュペッタだったが、セイラはそんな事を知るはずがない。
「グモ〜!グモモ!」
「いや〜っ!」
ビィがなだめようとするが意味もなく、軽くパニックになったセイラは走り出した。
バチッ
「ひゃっ…!?」
すぐ近くにあったひものようなものにつまずいてセイラは転んでしまった。と同時に、どういう訳か先程まであんなに明るかったナギサの街の明かりという明かりが消えてしまった。真っ暗な中で体を起こす。
「イタタ…、何だったの、あれは…?」
「グモモ〜」
「やだビィ、ごめんね!」
セイラは慌てて下敷きになっていたビィを抱き上げた。そして自分の足を見る。
「…痛っ、捻ったみたい…」
そうしていると、背後から声を掛けられた。
「おい…誰だ、何してる」
「…!!」
見れば金髪の青年と赤いアフロの青年が立っていた。
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