Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第十四話 最後の昼下がり
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「…そうだったのか…」
シロナさんからセイラの素性を知った俺とオーバは衝撃を覚えた。話したシロナさんもしんみりとした顔をしている。母親、妹、コクラン、ギンガ団、そして、ツワブキダイゴ…。セイラを取り巻く人間関係は複雑すぎて、正直俺は一度に理解するのは難しかった。それはオーバも同じで、戸惑っているような表情だった。
「セイラさんは、私がセイラさんの事情を知ってるってことを、知らないの。だから、この事は知らない振りをして」
「…でも、なんで保護してやらないんですか」
おかしいでしょうよ、とオーバが言う。俺も同感だ。
「…バカね。それで何が解決するというの?私達が介入したところで何も変わらない、ややこしくなるだけ。全てを解決できるのはセイラさんだけよ。本当に欲しいものは、自分の手でしか勝ち取れないって事、あなた達なら分かるでしょ?」
シロナさんは立ち上がると、脱いでいたコートを羽織りながら言った。
「だから全部助けることはしないけど、セイラさんは頑張っているから少しだけ手助けはするの。それじゃあセイラさんによろしくね、私はもう帰るわ」
そう言うとシロナさんは帰って行った。後に残されたのは、俺とオーバの二人きり。互いに何も話さないまま時間は過ぎていった。
(…セイラさん…)
賑やかなナギサの街を通り過ぎるシロナの目に映るのは、楽しそうに買い出しをするセイラの姿。
(…ごめんね、あなたの事情、話しちゃって…)
必要なことだったとは言え、辛い過去に触れるのは申し訳なかった。だから、セイラが戻る前に去ったのだ。
「グヮウ…」
「あら、ごめんねガブリアス…今日はもう、気分が優れないからホテルに戻りましょうか…」
そうしてシロナはホテルに戻って行った。それは、昼下がりのことだった。