Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第19話 善き人の家
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(うう…。)
体が重い。周りは真っ暗で、何も見えない。そう思ったけど、違う。周りが暗いんじゃない。私が、目を瞑っているだけだ。
(…私、どうなったの…?やっぱり捕まったのかな…)
私は、ベッドに寝かされているとは分かった。でもきっと、目を開けたらビィ達はいなくて、ここはあの家で、近くにはコクランがいるんだろう。そう思うと目を開けたくない。否、開けられない。再び私の意識は暗闇に吸い込まれそうになった。その時、遠くから誰かの話す声が聞こえた。
「あぁもう焦れったいな!もう二日だぞ、まだ起きねぇのかよコイツは!」
そして、私の肩を荒っぽく揺すっている感覚がしたかと思うとすぐにそれは止み、代わりにどこかで聞いた声がした。
「やめなさいよバカ!セイラはまだ安静にしなきゃいけないのに!そんなに暴れたきゃ外に出なさいよ!」
「あぁ!?調子乗んなよテメェ!!また倒されてぇのか!?」
「ハッ、やれるもんならやってみな!」
「ケンカしないで!」
私のお腹の辺りで何かがモゾモゾと動く感触がしたかと思うと、今度は幼い男の子の声がケンカの仲裁に入った。
「何言ってんだよ。お前こそずっと飲まず食わずだろーがよ、何か食って外の空気でも吸ってきたらどうだ、ビィ」
(…ビィ!?)
「…ううん。セイラはボクを庇ってこうなったの。だから、セイラがごはん食べてないなら、ボクも食べないし、起きないならずっとそばにいるの」
その会話を聞いて、再び私の意識はハッキリしてきた。ビィだって?誰がそんな会話をしてるんだろう。
「ん…」
ぴく、と瞼を動かすと、三人の声が色めき立った。
「セイラ!」
「…ん、ベティ…?ここはどこ……」
目を開けると、ベティが私の顔を覗き込んでいた。…そうか、あの声はベティか。じゃあ、後は…、まさか?
「よかった、セイラ!ボクうれしい!」
「…チッ、手間かけさせやがって…」
「……!!
今、目の前の現実が信じられなくて思わず尋ねてしまった。
「え、まさか…、ビィ、ジュノー、今喋ったの?」
自分でも馬鹿馬鹿しい質問だと思った。そんな訳が無いのに。しかし目の前の二匹は、しっかりと答えた。
「うん。そうだけど?」
「だから何だよ」
「………えぇええぇ!!!!????」
部屋中に、私の叫び声が響き渡った。