Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第26話 想い揺らぎ
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「(ちょっと、今の聞いたでしょ!?)」
「(あぁ、ヤベェ奴がいずれセイラを襲う…だったか?)」
ビィと緋雨の会話を、ベランダの側で聞いていたふたりは小声で会話していた。しかし聞き取れたのはその部分だけで、後は何を話していたのか分からない。
「(けどよ、)」
「?」
「(突然仲間入りしといて、いきなり『俺が守る』なんてセリフ、胡散臭くねぇか)」
「(…昔何かあったんじゃない?確かに胡散臭いけど、あの様子じゃ嘘はついてない)」
「(…………。)」
ジュノーはキッとベランダの緋雨を睨み付けた。緋雨は分からない事が多すぎる。旅の目的も、傷の訳も、前のトレーナーの事も。
(『俺が守る』たぁ言ってくれるじゃねえか…、それは俺の仕事だっつーの。)
そうでなければ、自分が今ここにいる理由など無い。
ベティは再び小声で話し始めた。
「(ところで…、妙よね、さっき言ってた…)」
「なにしてんの」
「「!!!!」」
急に目の前に現れたビィにふたりは硬直した。ビィは呆れたような顔で見ている。
「盗み聞きねぇ…、感心しないなぁ。ま、ボクきづいてたけどね」
ていうか、結構キミらって仲いいよね、とビィは続けた。
「いや…その、」
焦るべティやジュノーに構わず、ビィは呟いた。
「緋雨は、いろいろあるみたいだね…。いつか心を開いてくれるといいなぁ…」
じゃあねおやすみ、と言いながらビィは奥の寝室に向かった。
「ビィって、油断ならないわね…」
「ああ…」
ところで、とベティはジュノーに向き直った。
「ビィはセイラに言うと思う?さっきのこと」
ジュノーは首を横に振った。
「言わねえだろうな。アイツはセイラが全てって感じだから、余計な事で不安にさせないだろ」
「つまり、」
ベティはくるっと回った。どうやらコンテスト練習のせいで癖がついたようだ。
「セイラには何も知らせないで、ヤバい時にあたし達みんなで守ればいいのよ」
「………。」
「アンタだけの仕事だと思わないことね。みんないるんだから、気負うこともないわ」
「…チッ!」
見透かしてやがったか、と悪態をつきつつも、そっぽを向いたジュノーの顔は少し照れくさそうだった。