Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第29話 歪む空間と隠れ鬼
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ジムから出た途端、緋雨が私の手を引いて走り出した。
「…!?どうしたの!?」
緋雨は私の顔を見ると、焦ったように言った。
「言わなくても分かるだろうセイラ!まずいぞ、私服だったがあれはギンガ団だ!」
「!!」
そんな、私の居場所がバレたの…!?たちまち顔から血の気が失せるのを感じた。そこへベティがボールから飛び出してきた。
「違うわ!今回はセイラが狙いじゃないみたいよ!見てよあれを!!」
ベティが指した方向、つまりヨスガシティへのゲートには、たくさんのギンガ団員が立っていたのだ。
「何だありゃあ!」
「あれは…、まずいねぇ」
ボールの中からも驚きの声が聞こえてくる。
(そんな、何をするつもりなの…!?)
緋雨は強く私の手を握った。
「とにかく逃げるぞ!いいか、しっかり掴まってくれ!テレポートで一度離脱する!」
緋雨は物凄い速度で走りながらそう言った。そしてその勢いのまま私を引っ張り上げるように飛び上がった途端、私達はテレポートした。
町外れの人々も、この事態に気づき始めていた。何故ギンガ団が…?とざわめく反応を楽しむように、ジュピターは人々を眺める。
「ポケッチの電波とかも圏外になったかしら」
ジュピターは近くにいた団員に聞いた。
「はい。すべてアンテナは破壊しました」
部下は、人々を眺めながら答えた。彼らはこの異常な事態を誰かに伝えようとして圏外の電話機を必死にいじっている。ジュピターはそれを見ながら笑った。
「OK。…じゃあ、二時間で奪えるものすべて奪いなさい!作戦開始!」
そうジュピターが言い放った瞬間、各場所にいたギンガ団員達は動き出した。金目の物全てを奪うために。
悪夢の二時間が、始まった。