Get your life!(2)
□予言
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第38話 予言
「…そう、だったの」
セイラは沈痛な面持ちで目を伏せた。ビィ、ベティ、ジュノーも同様だった。
「俺はギンガ団が憎くてたまらない」
だから戦う。ひとりになっても、力を蓄え続けてきた。主人の仇を討ち、ギンガ団を壊滅させるために。
静まり返った空間の中で、ビィは口を開いた。
「それはわかるけど」
「ねぇ、ひさめ、それならなんでセイラの仲間になりたいっておもったの?」
当然の疑問だった。セイラはほとんど屋敷からでたことのない「お嬢様」で、トレーナーになったのも最近のことだ。ジムバッジのひとつもない、まして目的はホウエン地方に行くことである彼女に、どうしてギンガ団壊滅を目指す緋雨が近づくのか。
緋雨はビィ、そしてセイラを見つめた。
「皮肉なことに、俺は主人が死んでから予知能力を身に付けた」
俺もはじめのころ、自分と同じようにギンガ団を憎むやつを探した。しかし丁度いいやつは見当たらなかった。
そんなとき、一瞬だけイメージが浮かんだ。予感と言ってもいい。
俺はセイラ、あなたと出会った場所で、運命が大きく変わると知ったんだ。
だから俺はずっとあの場所にいた。
「そしてあなたに出会った」
緋雨はセイラの目をじっと見つめる。
「セイラ、あなたはギンガ団と戦う運命にある」
だからあなたに付いてきた。
「そんな…」
セイラは絶句した。なんで。どうして。母を亡くし、家から逃げ、ホウエンに行きたいだけの自分が、どうしてそんな組織と戦わなければならないのか。
「オイ、それどういう意味だよ」
「言ったままの意味だ。セイラは逃げられない。戦うしか、ない」
ジュノーの問いに、さらに意味深長な答えを返す緋雨。ビィが苛立たしげに口をひらく。
「それってさ、ひさめがセイラを戦いに巻き込むからじゃないの」
「いいや。セイラはまた別の理由で戦うことになる」
「ウソつかないでよ。僕さぁ、セイラを怖い目にあわせたくないな」
「だが君らは、もうすでにギンガ団に襲われているじゃないか」
「そうだけど…!セイラが戦わなきゃいけないなんて、どうしてよ!?」
耐えかねたベティが叫んだ。セイラは、小さく震えている。
そう、本来なら、何も戦う必要なんてないのだ。犯罪組織を壊滅させるのは、国際警察の役割なのだから。それなのに、なぜ戦う運命なのか。
「それは言えない」
運命が、変わってしまうから。