Get your life!(2)

□来訪者
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第40話 来訪者

「オイ、さっきから何勝手なことばっか言ってんだよ!?」

ジュノーがキッと緋雨を睨んだ。
勘のよいビィや、イメージを知覚できたベティと違い、セイラは何もかも唐突に言われた事なのだ。そしてジュノーは、出自を隠し続けた緋雨の、突然の強引な物言いに苛立ちを隠せなかった。

「勝手かどうか、それを決めるのは君じゃない。セイラだ」

「そんな、私は…、」

「コイツがひとりで戦うわけじゃねえだろ!!俺たちだって関わる話じゃねえか!!」

「『俺たち』ねぇ?」

緋雨は歪んだ笑みを浮かべた。

「単独行動が多かったくせに、そんな風に言うんだな。本当はナギサに早く帰りたいんじゃないのか?ギンガ団が怖くて。坊やは抜けてもいいんだぜ」

瞬間、ジュノーの雷が爆ぜた。

「ふざけんな!!!」

慌てて、ビィとベティが止めに入る。
しかしその場を収めたのはセイラだった。

「もういい加減にして!!!!」

セイラの目から、大粒の涙があふれ出る。

「なんでここでも争わなくちゃいけないの、」

家から逃れて、コクランに追われ、ギンガ団がらみの事件に巻き込まれて。あげくのはてに、仲間割れ。

「わたしはただ、ダイゴに逢いたいだけなのに…!!」


そういってセイラは顔を伏せた。
静かな教会に、セイラのかすかな嗚咽だけがひびいていた。



「これは、なんとひどい」

セイラたちのいる教会から離れた市街地。
ギンガ団による略奪が繰り広げられ、凄惨な光景となった街並みを、一人歩いてくる男がいる。優雅な佇まいだが、目の前の景色に怒りを隠しきれない。
連れているポケモンは、ミロカロス。最も美しいとされるポケモンだ。
当然、ギンガ団員たちは襲い掛かってくる。

「おら、お前もポケモンよこしな!!」

そういった瞬間、ギンガ団員たちはミロカロスの技で弾き飛ばされた。
ずぶぬれになって呻いている下っ端たちの傍を、男は颯爽と通り過ぎる。

「すまないが、今は加減が出来なくてね。」

なんだか嫌な予感がする。

予定があったヨスガシティに来て見れば、酷いありさまだ。
犯罪組織の仕業のようだが、こういう事件は指揮を執っている者を倒さねば収まらない。
男は胸騒ぎを覚えて、荒廃した町を急いだ。

「うう・・・、アイツ、どこかで・・・」

なぎ倒されたギンガ団員の傍で、割られたガラスに張られていたポスターが揺れた。
近く開催されるコンテストについて書かれたポスターには、ゲスト審査員としてホウエン地方のコンテストマスターにしてチャンピオン、ミクリの名が記されていた。

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