Get your life!(2)

□なつかしいひと
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第82話 なつかしいひと

「フヨウ!」

「セイラ、ひさしぶりー!!」

おくりび山に来てみれば、出迎えに来てくれた懐かしい友達の姿。再会を喜ぶセイラに、ダイゴも目を細めた。

「…ふーん!そんなことがあったんだぁ。セイラもダイゴも、ホントに大変だったねぇ」

浮世ばなれしたフヨウは、シンオウどころか他地方をも震撼させたヨスガのニュースを知らなかった。セイラは、このおおらかさに気が抜けたような、それでいてどこか救われたような、そんな気持ちになった。このことはあまりにも有名になってしまったし、いつのまにかその事件ありきで語られる自分の姿に、自分の心が引きずられてしまっていたような気がしたのだ。

「でもこれからは、ホウエンで楽しく暮らしたいと思ってるの」

その言葉に、フヨウはニコリと屈託のない笑顔を見せた。

「そうだよ!これからは何だってたのしまなくちゃ!」

セイラ、トレーナーになったんだよね?鍛えてあげる!
その言葉と共に、二人は手持ちのポケモンたちを繰り出した。





「…さて、落ち着いたかな?」

おくりび山の地質と鉱石の採取をしていたダイゴが戻ると、二人はバトルを終えていた。
当然、地の利があるフヨウが有利だったが、セイラの手持ちたちもだいぶ食い下がったようだ。ジュノーというルクシオにいたっては、体は傷だらけなのに目は爛爛と輝いている。

『〜ッ、ホンット、最高だぜ!!見たこともない奴、強い奴!!最高だなここは!!』

セイラはその言葉に、くすっと笑い、「ジュノーったら、ホントにバトルが好きなんだから」と呟いた。ベティも、『ね、こんなにイキイキしてるアイツ、初めて見たわ』と笑っている。

その言葉に、フヨウは何か気づいて、セイラに耳打ちした。

「セイラ、やっぱり、ポケモンの言葉が分かるんだね」

あっ…とセイラは口をつぐんだ。しまった。ベティの力、知られてはいけないのに。

「あのジュペッタちゃんの力でしょ?わたしもだもん」

そうか。ゴーストタイプ使いのフヨウにも、当然その可能性はあったのか。
フヨウは、セイラにひとつの美しい石を握らせた。

「あのね、これ、あげる。あのジュペッタちゃんに。・・・きっと力になるよ」

急なことにセイラは少し驚いたが、フヨウがこのように脈絡のないことを言うのはしょっちゅうだ。ベティはセイラの手中の石を珍し気に眺めている。
これはどうして、と聞こうとしたが、フヨウは向こう側にダイゴの姿を認めると、「お茶にしよー!」と走り去ってしまった。

フヨウは、理屈ではなく、感覚的に理解していた。いつかとても強い力が、セイラには必要になることを。ジュペッタストーンは、来るべき日に輝きを得るだろう。

(セイラ、がんばってね)

そんなフヨウの思いはいざ知らず、セイラは二人のあとを追った。



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