Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第六話 爆煙の大湿原
2ページ/4ページ
私たちは湿原の最奥のエリアに来た。周りには私たち以外誰もいない。
「へぇ、やっぱ奥地にもなると少し薄暗いもんだね」
「まぁ、色々探してみましょう!」
私たちがこんな会話をしていると、近くの草むらがガサガサと揺れて、
「グモー」
という鳴き声がした。見れば茶色い毛並みのポケモンの親子連れがいた。母親の後ろを子供が歩いている。そしてその子供と目があった。つぶらな黒い瞳が私を見つめている。手触りの良さそうな毛並みと、口からのぞく白くて立派な前歯がとても気になる。何だろうあのポケモン、初めて見た。
「あれは?」
「ビーダルとビッパですね」
「ま、そんなに強い訳じゃないけどな!」
へえ、ビッパって言うんだ。歩くたびにモコモコと揺れる尻尾に目が釘付けになる。薄暗いのにあの前歯はキラリと光って、とても綺麗だと分かる。
「可愛い…あのポケモン、欲しいな」
「「ええ!?」」
素直な感想を言ったら、二人はひどく驚いた。
「…?どうしたの?」
「あ、いや、」
「ちょっと意外って言うか、」
「でも親子だから捕まえるわけにはいかないね」
そんな会話をしている時だった。
「「「ぐぁっ……!!」」」
三人は何者かに棒状の物で殴られ、気を失ってしまった。セイラたちを殴ったおかっぱの男は仲間を呼ぶと、三人をサターンの元へ連れて行った。
「サターン様、うろついていた三人を捕らえました!」
部下の報告を受けたサターンは、気絶している三人の元へ向かった。
(確かにコイツはトバリジムのスモモ、こっちの金髪はそこそこ名の知れたトレーナーじゃないか。コイツらのポケモンは高く売れるだろう。しかし、この娘…何者だ?ポケモンも持っていない。だが何かで見た気が…、………あれだ!!)
サターンはパソコンを立ち上げると重要人物欄のある人物の写真に目を留めた。
(間違いない…!!髪こそ短いが、コイツはセイラだ!!)
「サターン様、こちらの者達はどうします」
サターンはニヤリと笑って答えた。
「そうだな…、後ろ手に縛り付けておけ、我々の崇高なる行動の目撃者になってもらおう」
まだアカギ様に渡すのは早い。
(少し楽しませてもらうぞ、セイラ)
不穏な気配がノモセを包み込んでいた。