Get your life!(ダイゴ長編夢)
□第八話 ナギサの幽霊騒動
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ナギサシティから少し離れたところにある、海辺の小さな雑木林。そこで何やら妙な機械をいじっている金髪の青年が居た。その機械は野球場のナイターのような巨大な電灯で、今はまだ明かりは付いていない。
「おーいデンジ、コード繋げてきたぞ」
「…ああ」
ナギサジムリーダー・デンジにそう声をかけたのは四天王のオーバ。 どうやらこの巨大な電灯はコード式らしく、オーバはそれを街のソーラーパネルの電気が使用できる公共のコンセントに繋いできたようだ。
「作業員に『停電しないか?』って何回も聞かれちまったよ」
「大丈夫だ、多分。ジムの電気は今日のために消してある」
多分ってオイ、と苦笑しながら、オーバは続けた。
「今日やられたトコに行ってきたんだけどよ、やっぱ今までの奴と目撃されてるのが同じだった」
ナギサでは、最近妙な事件が起こっていた。子供が居る家が襲われるのだ。深夜、何者かが子供部屋のガラスを割って部屋に侵入し、子供の顔をのぞき込む。だがそれ以上のことはせず、それは窓から出て行く。
「やっぱ人間じゃないらしい。ポケモンだと思うがな。」
「ああ…ゴーストタイプと考えるのが妥当だな」
相次ぐ奇妙な事件は、ジュンサーたちでもなかなか解決の糸口が掴めない。そこで駆り出されたのがジムリーダーのデンジだった。オーバは暇なので協力していた。
「…で、ソイツが逃げ込んだって情報が入ったのがこの雑木林だからそのメカ使って光であぶり出すんだっけ…?なんか無茶苦茶じゃね、デンジ?」
「何がだ」
「なんでこんなん作ったんだよ?お前のポケモン使えばいいんじゃねぇのか?」
「別に…、退屈だから」
デンジは電源を入れた。一気に周りが明るくなる。このあたりにはゴーストタイプのポケモンはいないから、もし光に反応して飛び出してきたゴーストタイプのポケモンがいたら、それが犯人の可能性が高い。
ガサッ!!
「来たぞ!!」
慌てるように木陰から飛び出る黒い影。噂通り人の形はしていない。
「ジュペッ!!」
「あれは…ジュペッタ!?」
木陰から飛び出してきたのはジュペッタだった。当然、このあたりにいるはずのないポケモンだ。それに姿も目撃情報と一致する所が多い。
「アイツか!!出てこい、エレキブルにレントラー!!」
デンジが二匹のポケモンを出した、その瞬間だった。
「何っ!?」
突然、あたりを照らしていたナイターの明かりが消えた。そのせいで二人は例のジュペッタを逃がしてしまった。
「どうしたんだ!?」
慌てるオーバ。しかしデンジは冷静にエレキブルの明かりで機械を調べる。
「…コードが抜けたみたいだな」
コードはコンセントから抜けてしまったようだった。虚しく地面に垂れ下がっている。
「〜っ、マジかよ、あと少しだったのに…。誰か抜いたのか?行ってみようぜ、一応」
「ああ」
デンジとオーバはコードを辿っていった。それがセイラという女性と出会うきっかけだとは露ほども思わずに。
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