Get your life!(ダイゴ長編夢)

□第28話 籠われた華ヨスガ
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ヨスガシティの外れ。一人のギンガ団員が、赤紫色の髪の女性の元に駆け寄った。

「ジュピター様、報告します!計画通り、ヨスガジムに一般人に模した団員30名を送り込み、ジムトレーナー及びジムリーダーの足止めに成功しました!」

「そう。分かったわ」

ジュピターはそう返事をすると、ヨスガシティを見回した。人が賑わい、高級ブティックが並ぶ街。コンテストに向けて美しく育てられたポケモン達がトレーナーと行き交う姿は、まるで自分達に品定めして欲しいようにすら見える。目に映るもの全てが輝いて見える。

「素敵。…だから、ね」

自警団の様な役割のジムは封じた。きっと、彼女達が気づく頃には全てが終わっている。後はヨスガの通信回路の切断、入り口の閉鎖をして、この街を陸の孤島にするだけ。

その時、別行動をしていた部下二人が走ってきた。思ったより早く準備ができたので、夕方からと告げていた任務を急きょ昼過ぎに変更していたのだ。

「あら、やっと来たのね」

「も、申し訳ございません…」

男の方が息を切らしながら頭を下げると、それに続いて女の方も頭を下げた。理由はないが、この二人は気に入らない。

「遅かった割には手ぶらのようね」

「…すみません…噂の隻眼のキルリアが見つからなくて…」

「ハッ、使えないわね。でもキルリアとかもうどーでもいいの。今回の任務は何か知ってるわね?」

そう言うとまた二人は決まり悪そうにした。男の方が、実は聞かされていません、と言うので、ジュピターは舌打ちをした。そこへ別の部下が駆け寄る。

「報告します!ヨスガシティへの全ゲート封鎖、及び通信経路の遮断を完了しました!」

その言葉に、二人は驚いた顔をした。一体、何をするつもりなのか?
そんな二人の動揺した様を嘲笑うと、ジュピターはやれやれと言った様子で告げた。

「今回する事は簡単。早くどこでもいいから位置に着きなさい?」

「しっ…しかし、何を…?」

困惑する二人に、ジュピターは不敵に笑うとこう言った。

「ヨスガは封鎖した。ジムリーダー達も足留め済み。今この街にいる全てのトレーナーのポケモンと店の金品全てを奪う。それが、今回の任務よ」

これが、アカギ様の夢に近づくのならば、私は全く躊躇しないわ。

ジュピターの瞳には、そんな意志が滲んでいた。
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