□不知火の災難
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「木手、たのむ!あいつと二人っきりにしないでくれ…!!」

「…不知火くん」

「ぬ―が?」

「いい加減、慣れなさい」

「うっ…!薄情者ぉ…泣」



握りしめているケータイは木手によって切られた。


同じクラスでよく接する間柄で、不知火の知念苦手説はよく知られている。


なのに木手は不知火の苦手を克服させるために、自分は来ないと言い切り、手離した。
不知火はつくづく鬼主将だと嘆く事になる。



問題の知念はずっと上を見ていて、
周りは薄暗いもんだから、うっかりあるものと間違いそうである。




「知念、うろうろするな。懐中電灯もないのに」

「わ―は大丈夫」

「そういう事じゃない!二人で固まって居た方がいいだろ。あまりこの家を探索しようだなんて思うな」



知念が黙るところをみて、やはりこの家を調べるつもりだったのだろう。



「いいか、安全を第一に考えろ。木手はそういう部類のを本気で信じていない。
 だから助けも来ない。もちろん俺も信じたくない。が、それで有名な場所なんだ。危険だから動くなよ知念」

「…心配するな」

「心配なんか…!ただ、」

「ただ?」

「コワイから、離れたくないだけで…」



不知火は知念自体も恐怖の対象でもあるが、
それ以上にこの真っ暗な状況で朝までまだまだ時間がかかるから。
一人でいる方がよっぽどコワイと感じた。



「…わっさん」

「ぇ、」



知念が不知火の頭を撫でた。
顔の表情までは見えないが不知火は知念の行動は本当に読めないと不思議に思う。



「安心しれ、わ―が守る」

「守るったって、どうやって…!?」

「わ―が付いてるから大丈夫やさ。心配す―な」



分からないが知念の絶対なる自信に負けて、
少し安堵する。


心強いなとちょっと感じた。
もし知念が新垣だったら、自分が守らなきゃいけなくなる立場になるから。




けれど、知念と二人きりになるという災難はまだまだ続いた。



あれから知念のお祓いを目の当たりにして、
もう後戻り出来ないと痛感するはめに…。







その次の日、
二人で木手に会いにいく早々、不知火は木手に泣きついた。


木「すいません、そんなコワイ思いをさせて。まさか本当に出てくるとは…」

知「元々この沖縄はみんな知ってか知らずか魔除けを置いてるさぁ。今更ぬ―がコワイか」

木「知念くん。君はいいですが、不知火くんがトラウマになりこれから夜になったら怖さが払拭できなくて、生活に多少支障が出るでしょう」

知「魔除けあるから滅多に入って来んさぁ。心配するな―?不知火」

不「木手が来てくれればっ…あんなコワイ目にあわずにすんだかも…っうぅ」

木「俺がいたとしても、どのみち知念くんのお祓いを見てしまうから変わりませんよ。それより、彼がいなかったら危なかったのだから、逆に良い友達を持ったと感謝しましょうね」

知「そうさぁ、不知火」

木「俺と不知火くんだけだったら、完全に危なかったんですから」

不「それは、そうだけど…」





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