ロイアイ小説U

□片手に収まるサイズ?
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バレンタインだと浮かれていたいが俺には彼女はいない

彼女がいないとなればチョコなど貰えないだろう 普通はな


だが俺には義理チョコをくれる優しい上官がいる!!


…義理だけどな












相変わらずこの日になると憎たらしいくらいにチョコが積まれた机に埋もれて困ったように笑う我が無能な上官のロイ・マスタングは厭味たらしく「ハボック羨ましいか!」などと高らかにほざ……おっしゃり、自慢の視線を送る。


ええええ凄いですね と思いながら 中尉はよく怒らないなとも思った。



普通自分以外の女からここまで沢山貰っているのを知ったら悲しみ怒るだろう

許してあげてるのか気にもならないのか



俺ら部下たちは2人の関係にはもう気付いてはいるのだがどうやらばれていないと思っているらしい。

いつ気付くのかを楽しみにしている。







「おはようございますー」



ダラダラとブレダやフュリーなど皆が入ってくる

そして俺同様に軽く自慢され受け流し
中尉が早く来ないかと心待ちにしていた。






皆結局のところは
中尉からのチョコが欲しいのだ。


義理でもいいから1つだけはもらいたい!!

…というのもあるが


中尉は義理といえども手作りをしてくる。

それが美味しいのなんの!!


だから食べたい、という気持ちの方が強いと思う








そんなことを考えていると。








「おはようございます」



「中尉!!」







待ちに待った中尉のご登場だが…



…ん??






「中尉、何だその箱は」


「これですか?」



大佐が指さしたものは、彼女が抱えている段ボール箱。


それの箱には上に 手が入るくらいの穴が空いているが これをどうするつもりなのだろうか?








「皆への、チョコが入っています」


「え?」










素っ頓狂な声を出してしまった。


チョコ?箱に?













「今回は色んなものを作ったので、誰が何を引くかお楽しみにすれば面白いかなぁと思いまして。…生物だから早く食べて欲しいし、今取ってくれて構わないわよ」



と言われまずフュリー曹長の前に箱を差し出した。






「わぁ、ありがとうございますぅ!!」



ごそごそと手探りで取ったものは






「チョコレートのタルトですね!一口サイズで可愛い!!ありがとうございます」


「どういたしまして」



「次は私が取るぞ!!」



「駄目です!大佐は一番最後!!」



「………。」





そしてファルマンはブランマンジェを取り
俺にも差し出され喜んで探ったのだが…





触って分かったことがある



















明らかに1つだけ大きい何かがある。




それは多分ハートの形をしていて固い。






2つ、小さいものがあるのだが1つだけでかい。
















…ははぁ、なるほどな
分かったぞ!!







「お、可愛いクッキー!ありがたくいただくっス!!」




俺は小さいお菓子を取った。


クッキーだった。






中尉がなぜ箱を使ってプレゼントする形式にしたのか、手作りをもらうため箱に手を入れた奴は皆悟った。



さあブレダ、あとはお前が…















いよいよブレダも手を入れた


箱を持ったままの中尉はブレダの表情を伺うように凝視する。







と、ブレダはにやりと笑い「お、ラッキー!これ大きくない…か…」



言いかけたところで動きが止まった。




中尉がすごく悲しそうな顔をしたからだ。



ああ…とでもいいたげに俯き、しょんぼりとした。



食い意地の張ったブレダのことだ、でかいお菓子を食べることを考えたらしい


だがそこで自分がそれを取ろうとしたら中尉が悲しそうにした。




一瞬なんのことか分からなかったのか 何故中尉はこんなしょげているのかというような顔をしたのだが
そこでようやく悟ったらしい。…気付くのが遅いぞ…!!










「あ、これはこれは可愛いサイズのパウンドケーキですね!うまそーっ!」











よし、よくやった友よ!!




見事ブレダは最後の【小さいお菓子】をひいた。







そのときの中尉の顔ときたらそれはもう幸せそうに、とたんににこにこと微笑んで 安堵の表情を浮かべている。




…わかりやすい上官だ






それはもう可愛いくらいに微笑んで


「ほら、大佐は余りもので充分です」


なんて片手で箱を向ける。








「もっと大切に扱ってくれたって…」



ぶつぶつとつぶやきながら大佐が取ったものは


















やっぱり、ハートのチョコレート。





ただしそれは俺らがもらったような小さい、一口サイズ 片手に収まるサイズではなく
割りとずっしりとくるくらい分厚く重く大きい。

大佐がてのひらを広げてもはみ出るくらいはあるだろう。
















それを確認した中尉は


「あら、大佐がそれを取ってしまったんですね。皆遠慮しなくても当たりをひけば良かったのに」



なんて言いながらやはりまた女神のような笑みを浮かべ。












皆わかっているのだ


堂々と俺らの前で大佐に本命を渡すのが恥ずかしいことを。



皆の遠慮の塊をやむを得なくもらうかたちならごく自然にあのサイズのチョコを受け取ってもらえる。


そう考えたんだろう。









だからブレダがそれを取ろうとしたとき
あんなに焦って、悲しんだんだろうな。





今日は面白いものを見れたぞ、うん。
















「お前らは遠慮を知っているな!空気読んだなあははは!」



それに込められた意味に気付かず1番大きなサイズであることを喜ぶ大佐と





ちゃんと大佐の手に渡ったことを喜んでいる中尉と






全てを知って微笑む俺らがいた。























end.





朝、ふと思いました



こればっかりはポーカーフェイスじゃない。そこまで必死。

そんなリザと、見守る皆があったかい話に仕上がってるといいな。


実際読み返してないわ20分くらいしか使ってないわ的な適当な感じなのであったかさなど伝わるわけもない。いや、この文にあるわけもない(^q^)ww





10.02.14

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