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□order6 「欠落バトル」
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 「・・・・・あー、じゃあまぁ、ここにいても仕方無いんですね。ってか、ダメじゃないですかクローズの看板出しててくんなきゃ!」


 「あ、わり」

 もー、と母親のようなつぶやきと共に、レイは歯を磨いた直後にアメリカンドッグを頬張るロイズを置いてカフェの入口に走った。



 その直後。black・cafeの扉の前に、「close」の札をかけたレイが立っていた。

 「これでよし、と・・・」

 特に達成感を伴う程の仕事でも無かったが、レイはそう言った。
 と同時に、この朝っぱらから着替えて帰宅しなければならないという現在の状況に、レイは今日何回目かといった深いため息をつく。

 空は快晴で、こんな朝は家でくつろいでいたかったなと心の中で毒づきながらも、レイは帰宅に頭を切り替えた。

 ふと、下を向いているレイの視界の端に、男一人分の革靴が入り込んだ。

 それはザリッという音を最後に、店の前から動こうとしなかった。

 (・・・随分背の高い人だな・・・・・)

 影や靴の大きさからそう感じ取り、ほんの数秒の間にレイはそんな事を頭によぎらせると、客かもしれないと考えてゆっくりと顔を上げつつ言った。

 「・・・・・あのー、すいません今日は定休日に・・・」

 レイの瞳孔が反応した。

 目の前には、スーツ姿の背の高い男。
 顔には、銀色の無機質な仮面が装着されていて、手には拳銃が握られてそれは無情にレイを見据えていた。




 「どのタッパーにも“食うな”って書いてある」

 冷蔵庫を漁ってぶつぶつ言うロイズは、少し間を置くとピクリと反応し、冷蔵庫をパタンと閉めた。

 「・・・・・何かいるのか?」

 普段が普段だが、戦闘に関してはプロと言ってもいいだけにロイズは何かを感じ取り、そっと振り向く。

 と、次の瞬間。

 「うわぁァアアアア!!」

 ガシャーンと激しく音波を放ちながら、ロイズがいる店の奥までレイが吹っ飛んで来た。
 ゴロゴロっとスマートな動きで後転しながら本来の体位を取り戻したレイの両手には、武器のナイフが握られていた。

 「レイ」

 「ロイズさん!・・・来てます!!」


 キッと前を見据えるレイと、ベルトから拳銃を取り外して指で器用に回すロイズの先には、先程レイの前にいた男のような出で立ちの団体が各自凶器を持って入り込んで来ていた。

 「・・・どう思います、ロイズさん」


 「腹減った」

 2人が攻撃体制に入ると同時に、謎の団体・・・恐らくクリスが片付けたジャンキー達の組織の奴らか、そうで無くともここを良く思っていない奴らだろう・・・が一斉にかかって来た。

 流石と言うべきか、ロイズがアクロバティックと言えば理解出来るであろう動きで相手との距離を縮めると、肉体戦だけで数人片付けた。
 ちらりと横を見ると、レイが大型のパイプを持った男と戦闘中だった。

 「うわわわ!」

 鉄と鉄がぶつかる音が18分音符のそれよりも速く響き、相手のガタイの良さのせいでレイは後ずさりながらの戦闘を強いられていた。

 一際大きく金属音が鳴り響くと、レイは弾かれてひとつだけになったナイフにはっとした顔をした。

 「くっ」

 一本のナイフを逆手持ちに切り替え、ようやく1人を片付けた刹那、レイの背後には2人迫って来ていた。

 しかしそれはロイズが発砲した銃弾に吹き飛ばされ床に付した。

 「ハァ・・・あ、ありがとうございます」

 肩で息をするレイがぐいっと口をぬぐい、叫んだ。

 「何のつもりですか!?」

 それが面白かったのか、リーダー各と思われる男がくくっと含み笑いをした。表情こそは仮面のせいで読み取れなかったが。

 「・・・・・4人いると聞いていたんだが」

 ロイズとレイは次の言葉を待った。

 「・・・男が1人、足りねェな」

 「・・・・・・1人?」


 レイは考えた。

 俺と、ロイズさん。ここにいるのは2人。

 “男”でここにいないのは、クリスさんだけ。

 昨日ジーナちゃんは、一足先に・・・。


 「・・・・・まさか」



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