□甘い夜
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―僕らは甘い夜を越え‥―





甘い夜





「まだ寝ていないのか…」

ボンヤリと夜風にあたっていると背後から声をかけられた。

「そういうメガザラック殿こそ。」

クスクス笑みをこぼしながらオレは声の正体の愛しい人に負けじと言った。
すると、メガザラック殿は少し眉をひそめ、オレの隣に腰をおろした。

「オレの事は別にいい」

風に消えそうなほど小さな声でボソリと彼は呟いた。
オレは聞こえていないフリをして、空を仰ぐ。

暗い空にキラキラ輝く星々。昼間と違い辺りは静かで…
まるで2人だけの為にある世界だと錯覚する。

ボウっ…と見続けていると、左手に暖かいものに包まれた。
自然に左手の方向に目がいく。そこにはオレの左手…と、重なった右手。
その手の持ち主の顔を見ると、少々頬が赤く染まっている。
そんな彼、メガザラック殿を見ているとこっちもほぼ…というか顔全体に熱をおびていくのが分かる。最終的に恥ずかしくなり、オレはつい顔を反対にそむけた。

「今まで」

ポツリ。でも今度はさっきよりも大きな声でオレに語りかけるよう言葉を発した。
おもわずオレはまた振り向く。そんなオレを知ってか知らずか、ポツポツと口を開き始めた。
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