蒼
□甘い贈り物 前編
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「それは…」
「これ?チョコレートよ」
ミーシャが見せてくれた器にはトロリとした茶色い物体があった。チョコレート、と呼ばれるコレから甘い匂いが漂っていた。
「明日はね、女の子が大切な人にチョコレートを渡す日なの」
「大切な人…」
「そう、だからオメガスプリームも一緒にどうかと思って呼んでみたんだけど…迷惑だった?」
そう言って首を傾げたミーシャに、私は首を振った。
「いや、それは構わないんだ。今はそんな行事があるんだな…」
私が眠る前は戦いしかなく、そういったものはなかった。私自身、女であろうと関係なく、星を守るために戦ってきた。けど今は、こんなにも穏やかで暖かい時間が流れている。
「えぇ、素敵でしょ」
彼女はまたニッコリ笑った。