続く短い話

□願いの先に
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いつだって
運命は突然で
拒んでも、それは必ず来てしまう…






願いの先に




「ここ、か…」

大きな立派な門の前
雛森桃は一人溜め息をつく

「…仕方ないよね…お父様のため、だもの」

キィー…バタンッ


まさかこれが地獄の門だったなんて
誰も思いやしないだろう
雛森だってそんな事微塵も考えなかった








事は数日前に遡る………


「桃…済まない…婚約者が出来た」

雛森の父が泣きながら謝ってきた

父の会社は小さかった
それでも普通よりは金持ちの部類に入り
雛森も充実した毎日を送っていた

それなのに…突然

「なん…で?」

雛森は驚きから声が上手くでない

「済まない…実は」

父の会社は潰れかかっていた
家族に迷惑かけたくなかった父はそこで大手企業……日番谷株式会社に頼みこんだのだ

助けてくれ、と


すると日番谷株式会社の社長が

「娘をくれるなら」

と言ったのだ


「桃…嫌なら今すぐ断る」

雛森は考えた

自分が我慢すれば…
家族は…会社は助かる
だから

「大丈夫よ、お父様…それより婚約者さんがどんな人か知りたい」


雛森は婚約を了承した


「…本当に済まない…桃、相手は素晴らしい社長だ…その天才的な力で会社をまとめ上げ社長になったらしい」

「あの…会いたいんだけど…」

流石に婚約者に会いたいのは普通だろう

「…相手は結婚まで秘密にしたいそうだ…だから」



そこで父は考えたのだった

「社長さんは桃より三つ上の学生らしい…秘密でその学校に転入するか…?」



こうして雛森は本名を偽り隠れるようにその学校

全寮制…真術高等学校
に転入したのだった








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