SOS

□予知夢
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暗い
真っ暗だ
でも、不思議と目は見える
だって目の前が真っ暗だと分かる
瞬きをしているかは分からないが
底知れぬ深い深い黒が眼球いっぱいに広がっている
ひとつ、ろうそくに火が灯った
ようやく自分の姿が分かった
俺は目を開けて、耳をすまして、口を閉じて、真っ直ぐに立っている
ここは洞窟だろうか
鍾乳洞が見えた
先からポツリポツリと水滴が落ちている
水滴が落ちた先を見てみると、俺の足元だった
よく見れば胸あたりまで水が溜まっている
意識をすると、水は温度を持ち始めた
冷たい
このままでは風邪をひいてしまう
最悪死んでしまう
しかし、体は動かない
目はきょろきょろと左右に動き回るのに、動かない
その時、鍾乳洞が目に入った
先から落ちる水滴を見る
人影が見えた
黄色いリボンの少女
メイド服の少女
本を読む少女
それから、あいつ
黄色いリボンの少女が何かを指差してにんまりと笑っている
メイド服の少女は困ったように、でも楽しそうに笑っている
本を手にした少女はじっと指の先を見ている
あいつは肩をすくめながら、本当の笑顔で微笑んでいる
あいつの本当の笑顔が嬉しい
あいつはすぐに隠してしまうから

あれ?
本当の笑顔?
何で隠すんだ?
そもそもあいつは誰だ?
誰?
誰?
あいつ、は誰に微笑んでいるんだ?
指の先は誰?

ぴちょん
水滴が落ちて波紋が広がる
そこにはゆらゆらと揺れる俺の顔

あぁ
そうか
もしかして
あれは
あの指の先は、





時刻は朝7時
何か夢を見た気がする
しかし、忘れてしまった
思い出せない
なんだったか、だれだったか
まぁ、いいや
入学式の準備をしなくては





END

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