ていきゅう
□幸せなほのぼの時間
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青い空、綿菓子みたいな白い雲。うふふ・・・・今日も可愛い小鳥達は美しい声で鳴いている
・・・・なーんて、乙女な思考を私は持ち合わせていない。
簡単に言えば、私は『不器用・ガサツ』な非常に残念な女である。
「あーあ」
やけに長く感じた4時間目までの授業もようやく終わり、今は待ちに待った昼休み。
だけど、私の手元にある弁当の中身を見て思わず溜め息を一つ吐いた
「せんぱーいっ!!」
気持ちがブルーを通り越してグレーに染まった頃、何とも最悪なタイミングで奴が来た。
ふわふわなワカメヘアに人懐っこい笑顔、走ってこちらに来る姿はまるで犬のよう。
「赤也、ごめん。今日も購買で食べて」
「えー!」
「これは食べさせられない」
「それはないっスよーっ!!!俺、先輩の弁当すっげー楽しみにしてたのに!」
「だからごめんって」
もう一度手元にあるモノ・・・弁当の蓋を開けて確認する。
「ないないない。」
茶色と若干黒が広がる弁当の中身。
有り得ない。女としてどうなのコレ。死んだ方がいいんじゃない?!
「でも、作ってきてくれたんスよね?」
「一応は、ね」
「じゃあそれ下さい!!」
「ダメ!」
ああ・・・・何で私は昨日、赤也に弁当を作ってあげるなんて言ってしまったのだろうか。
憎い。昨日の自分
「何でダメなんスかーっ?!」
「全然美味しそうじゃないから!」
「食べてみなきゃ分かんないじゃないっスかー!」
私の手元から弁当を奪おうとする赤也の力はさすがテニス部というかなんというかハンパないものだ。勝てるわけもなく、すぐに取られてしまった弁当は今、赤也の手の中にある。
「いっただっきまーっす!」
笑顔で弁当を開いた赤也の顔は瞬時にキラキラと輝きを放った。
「何?」
「肉じゃがだーっ!お、卵焼きも入ってる!」
一つ一つのおかずを確認してどれから食べるか迷っているらしい。
「よし!これから食べよう!」
テンションが異様に低い私のよこで嬉しそうに箸で掴んだ肉じゃがを口へと運んだ赤也。何だかハラハラする。
「ど、どう・・・・?」
「んーまい!」
言いながら次々とおかずやご飯を口に運んでいく赤也に顔が綻んだ
「ごめんね。もっと女の子らしい弁当にしようかと思ったんだけどさ、地味になっちゃった・・・・」
「なーに言ってんの?美味しいし、先輩らしい弁当じゃん!」
「私らしい・・・・?」
「派手すぎないで、そんなに目立つタイプじゃないけど一緒に居るとすっごく落ち着けて、優しい。この弁当、先輩みたい」
「褒められてるんだか分かんないよ、ソレ」
言いたいことはいくつもあったけど、赤也の笑顔を見てたらそんなことはどうでもよくなった
「大好きです先輩!これからずぅーっと先輩の弁当食べたいっス!」
「え、これからも作るの?」
「はい!一生!」
「いいいい、一生っ?!」
思わぬプロポーズにビックリしたけど、次に感じたのは『幸せ』でした
幸せなほのぼの時間
赤也と一緒に居られる時間が一番好き