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□放課後ティータイム
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「澪ちゃんって男の子に告白されたことある〜?」
「ふぇっ!?」
(…そ、そんな質問しないで――!)
夏から秋へと変わり、そろそろ制服にセーターを着込む者が現れ出す季節
文化祭もあと1ヶ月程で来るというのに、また音楽室でお茶会に勤しんでいる私たち(私は本当は練習したい)
駅前に出来たというケーキ屋の話から始まり
ムギの持ってくるケーキの方が美味しいだのから
「お菓子作ったことある?」に変わって
「バレンタインとか手作りがいいのかなぁ」なんて唯の一言により
流れ的に恋愛の話になってしまった
勿論(?)軽音部には彼氏持ちの人はいないのだが(さわこ先生は不明)
私は…すきなひとなら……いる
私の目の前に座ってる…
田井中り…
「そういや澪からそんな話きかないなー」
(ひぃっ!!)
実は私は目の前にいる女の子が好き
所謂幼なじみで一番付き合いが長い
私自身女の子が好きという性癖持ちな訳ではないのだが、どういう訳かコイツへの感情は恋愛としか思えない
勿論皆にバレる訳にはいかないので必死に隠してる訳だが…
「澪ちゃんは美人でいらっしゃるから…中学時代とかおモテになったんじゃないですか?…まぁ今もモテモテですけど」
何なのムギのその笑顔
私はムギには全て知られているのではないかと不安でたまらなくなる
…必死に隠してるんだけど
こういう恋愛話を持ち込まれると、目の前にいる人がやたらと意識の中に入り込んできて平然を装いにくくなってしまう
「なななないないっ!!…そんなことなかった」
「えぇー怪しい」楽しそうに唯が含み笑う
「澪ちゃんと律ちゃんは幼なじみだったてことは中学も一緒だよね?」
「一緒だったぜー、なぁ澪?」
「うっ…うん」
「じゃあ律ちゃん、知らないの?澪ちゃんの好きな人とかv」
(よりによって律にその質問をするなあああああっ馬鹿唯っ!!!)
「澪の…好きな人?」
律がこっちをみる
そ…そんな目でこっちをみないで
私にどうしろっていうんだ…!!
「好きな人…いたの?」
「えっ………」
(それは律だ…)
なんてこの場で言えたらどんなに楽なんだろ
こいつのこういう意地悪なところ…ムカつく
「いないし…好きな男の子なんて」
―嘘は吐いてない
「だ…だよなぁーうちの学校ろくなやついなかったしなぁ!!…ははは」
どうせ私もろくなやつじゃないもん…
やばい…目の奥がツンとした…
「…だ…よな、ゴメントイレ…」
ガタッと立ち上がった
椅子を直す余裕が無さそうだった
こんな顔皆に見せられやしない…
そそくさと部室のドアを開ける
約5分間、トイレの平均時間で戻ってこなければいけない
「あ、私もトイ……」
律の声がうっすら聞こえたが無視した