菊丸総受お題シリーズ

□『下校』
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仁王ver



「はぁ〜。逢いたいな…」

空を見上げると思わず溢れる本音。

当然毎日会いたいが、例えばなぜかフォーメーションが上手くいかなかったり、何をするにも気分がのらなかったり。

そんな時は特に会いたいと思ってしまう。

別の誰かと帰る気にもなれなくて、何人かの下校の誘いも断ってしまったが、一人でなければこんなに切なくはならなかっただろうか?



ポケットから携帯電話を取り出してパカッと開けると、自然と指先は“仁王”の名前を表示させた。

「……」

しかし通話ボタンは押さずにそのままパタンと閉じてしまう。

小さく溜め息をついた菊丸は、近づいてくる一つの影に気付いていなかった。

「一人とは好都合じゃの」

「?!」

すぐ後ろから声をかけられて、驚いた菊丸の肩が揺れる。

しかし聞き覚えのありすぎるその声とその口調に、ゆっくりと振り返った菊丸はそこに立っていた人物に目を丸くした。

「仁王っ?!」

「お、エェ顔するのぅ」

何でもない風に笑っているが、今日は平日。

立海の制服を着ている以上、仁王だって学校へ行っていたはずだ。

“なんで??”

“どうして??”

聞きたい事はたくさんあるのに、混乱した頭は言葉を選びきれずにいる。

口をパクパクさせる菊丸に仁王は更に口端を上げると、携帯を持ったままの菊丸の手を引いて歩き出した。




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