菊丸総受お題シリーズ
□『嫉妬』
2ページ/31ページ
大石ver
ほら、まただ
今もまた
あぁ、また…
少し向こうに見える光景に大石が僅かに眉を寄せる。
「―…し、大石、聞いているのか?」
「…手塚…?」
すぐ側で聞こえた呼び声に視線をやると、案の定大石なんかより余程眉間に皺を寄せた手塚がこちらを見ていた。
「今日の練習メニューだが…」
溜め息をついてから続ける手塚をよそに、“悪い…”と言いつつも大石の視線はやはりある方向へと向いてしまう。
「だからさぁ、明日の古典の時間…」
「僕は別に構わないケド
バレたら怒られちゃうよ?英二が」
「にゃんで俺だけなんだよぉっ」
「ん〜…日頃の行いかな?」
柔軟体操をしながら何やら楽しそうに話す菊丸と不二。
“クラスメイト”
そんな肩書きだけ(いや、実際そうなのだが)で、随分自分と違う気がする。
―入り込めない―
ただ漠然とそう感じた。
「随分…楽しそうだったな」
結局あの後手塚に三度程注意され、練習にもあまり身が入らずに乾特製野菜汁を飲むハメになった大石。
その原因である菊丸にチラリと視線を向けると、本人は何の事かわからないのか目をパチパチと瞬かせた。
「???大石部活楽しくにゃいの?????」
ダブルスのパートナーがテニスがつまらなくなってしまっては一大事だ。
首を傾げて大石の顔を覗き込んだ菊丸は、しかしそこに見えた珍しい仏頂面に眉をひそめた。
・