菊丸総受お題シリーズ
□『嫉妬』
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思いもよらない方向へ話が向かっているのに気付いたのか、チラリと見た桃城の目には僅かに眉を寄せた不二の顔。
「えっと…お先に失礼しまっす!!」
「んじゃあ帰りましょうよ、英二先輩。
じゃ、不二先輩お先っス」
何か言われる前にと、そそくさと支度をした後輩二人が対照的な表情で部室を出ていく。
やはり不二が気になるのか、何度も振り返る桃城と
僅かなチャンスをモノにしてやると言わんばかりの越前。
「……」
一瞬不二に視線をやったものの、無言のまま目をそらして二人の後に続こうとした菊丸に、不二は気が付けばその腕を掴んでいた。
「なっ…!」
振り向いた菊丸の唇を不二のそれが塞ぐ。
「越前や桃と帰るの英二?」
「んっ…////」
「僕がいるのに?」
「不っ…じ…」
問いかけているハズの言葉は答えを求めていないのか、菊丸が何か言おうとしてもキスで遮られてしまう。
「それってもしかして僕への当て付け?」
「っ?!」
覗き込んだ不二の瞳に菊丸はハッと息をのんだ。
見たことのない不安の滲むその瞳。
そもそも言い合いになったのは、不二が女生徒に告白された事から始まった。
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