菊丸総受お題シリーズ
□『看病』
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手塚ver
いつもなら多少離れた所に居ても聞こえてくる明るい声が聞こえない。
「菊丸はどうした?」
その元気な姿を静かに探しながら、手塚は隣に立った大石に問いかけた。
「え?まだ来てないのか?」
いつも一番に来る事はあまりないが、遅れる事だってあまりない。
そんな菊丸がもうすぐ朝練が始まるというコートに現れていないのは珍しい事だった。
「珍しいっスね。英二先輩」
「ん〜…」
反対にギリギリに到着する事の多い越前が部室から出てきたかと思うと、その後ろから菊丸も姿を現す。
「菊丸、越前、遅いぞっ!」
チームメイトから挨拶されている菊丸にホッとしつつも激を飛ばす手塚。
しかし普段とは様子が違って見える菊丸に、手塚は僅かに眉間に皺を寄せた。
「エージ先輩、寝坊っスか?」
「何か起きれなくてさ〜…」
駆け寄った桃城に答えつつ、目を擦る菊丸。
「英二、もしかして…」
更に不二が菊丸の腕に触れた瞬間
「菊丸!越前!グラウンド20周だっ!」
気付けば手塚はそう叫んでいた。
「ギリギリ間に合ったのに…」
と文句を言う越前を軽く睨み付けると、押し黙ってグラウンドへと走って行く。
続く菊丸の後ろ姿を見送った不二がそのまま視線を手塚へと移した。
「……何だ」
「手塚…、英二止めた方が良いよ」
「?…それはどういう…」
言いかけた所で、突然部員達が騒ぎ始める。
ハッと視線をそちらへやると、踞る菊丸の姿が見えた。
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