菊丸総受お題シリーズ

□『寄り道』
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不二ver



「あれ?英二は…??」

部活を終えて、着替えようと部室に戻った不二は、そこに居るハズの人物が居ない事に首を傾げた。

確か自分より先に部室に向かう姿は見掛けたのだが…

「英二なら3分25秒前に帰ったぞ?…29、30、31…」

「え、もう?」

いつもなら約束なんてしなくたって、待っていてくれるハズだ。

そんな菊丸が帰ってしまったという事実に不二は一瞬眉を寄せた。

「そういや英二先輩、なんか急いでましたよね」

既に着替え終えた桃城はそう言って大石に視線をやる。

恐らく大石なら何か知ってるだろうと思ったのだろうが、その行動はただでさえ低下中の不二の機嫌を更に急降下させた。

「や、知らないっスよねっ?ねっ?大石副部長っ!」

それに気付いた桃城が、慌てて助けを求める様に大石を涙目で見る。

「桃、ナニ慌ててるの?」

しかし大石の助けより先に向けられた不二の満面の笑みに、桃城は千切れそうな程首を左右に振った。

「なんでもないっス!!!」

そんな桃城を横目で見ながら、不二はテキパキと着替えを済ませる。

やはり大石も何も知らないのか(万が一知っていたらそれはそれで大惨事だ)、涙目の桃城に“知らないなぁ”と答えただけだった。




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