菊丸総受お題シリーズ
□『寄り道』
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「あ…!
ちょっとゴメンね〜」
菊丸の膝の上でくつろぐ仔猫に声をかけながらそっと首輪に触れる。
「連絡先とかあれば良いんだけど…」
その仔にはまだ大きめの首輪をそっと外してやると、不二はそれを裏返した。
「あ、ビンゴ♪」
思った通り、首輪の裏には丁寧な文字で書かれた住所。
心配そうにこちらを伺い見る菊丸にそれを見せてやると、その顔はパッと輝いた。
「良かったな〜お前、ウチに帰れるってさ」
「ここからそんなに遠くないみたいだね」
“行く?”
と視線だけで問いかけると、菊丸は直ぐに首を縦に振る。
「きっと心配してるからさ」
言って自分の鞄を持とうとする菊丸を制し、二人分の鞄を両肩にかけた不二は、そっと菊丸に手を差し出した。
部活後に寄り道をしたので辺りはもう薄暗く、二人以外の人影はない。
「…////」
菊丸は少し恥ずかしそうに周囲に視線を巡らせた後、仔猫を抱いていない方の手をそれに重ねた。
「それにしても
僕に一言いってくれても良かったんじゃない?」
「?!」
「その仔の家。僕の家と近いよね」
「そ、そう…だね…」
「泊まりに来るよね?」
「う…うん…(もう絶対不二に黙って帰らにゃい様にしよ〜)」
fin
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