私立星奏幼稚園
□私の好きな人(金日+天)
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これはもう…
白状しろと言われてるとしか思えない。
「せーんせっ!」
「ん?どうしたの、なみちゃん。」
お昼寝タイム直前。
みんなが自分でお布団の準備をし始める中で、なみちゃんが私のエプロンを引っ張りながら、呼びかけてきた。
「かほせんせーはー…かなやんが好きなの?」
「…………え?」
「か・な・や・ん!せんせぇ、好きでしょ〜?」
ニタリと嫌な笑い方をする、なみちゃん。
「…あのね、なみちゃん。“金やん”じゃなくて“金澤先生”でしょ?」
「はーい。で?せんせ、好きなの?」
実際に聴こえはしないのに、キラキラいう音が聴こえてきそうなほど目を輝かせて、なみちゃんは問いかけてくる。
「うん。好きだよ〜?先生は、金澤先生もなみちゃんも、しょうこちゃんも、みーんな好きだからね♪」
「もーう、せんせぇったら…あたしが言ってるのは、そっちの“好き”じゃなくって!」
「なぁに?」
私は怯む(ひるむ)ことなく笑顔で返事をする。
内心…
(なみちゃんってば…どうしてこうも大人っぽいのかなぁ?)
と、冷や汗をかいていたりするのだけど。
「ほー?香穂先生は気が多いんだな。」
「…へ?」
突然背後から聞こえたその声の主は…
「金澤先生っ?!」
「かーなやーんだぁ。」
「コラ。“先生”だろ?」
金澤先生はなみちゃんの頭をコツンと軽く小突く。
「はーい。」
なみちゃんはニシシと笑って、返事をした。
「…本当に分かってんのか?ま、いいか。ほら、もう昼寝の時間だろ。みんな布団出してるぞ?一番遅いのは誰かなぁ?」
金澤先生が意地の悪い笑顔を見せると、なみちゃんはハッとした顔になる。
「急がなきゃ!けいちゃんに負けちゃう!じゃ、かほせんせ、またおはなし聞かせてね♪」
なみちゃんはトタトタと駆け足で自分のお布団を出しに向かった。
「くっ…ホント、子供は単純だな。しかし、さすがに桂一には負けんだろ。」
先生は楽しそうに笑ってる。
金澤先生は見た目からはあまり分からないけれど、実は結構子供好きだし、子供からも好かれやすいのだ。
(まぁ…幼稚園の先生しといて、子供嫌いで子供に嫌われてたら、なんで幼稚園の先生になったのか不思議か…。)
なんて自分でツッコミながら、金澤先生に話しかける。
「…金澤先生…いつからいたんですか?」