未来予想図
□穏やかな日々(志日)
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「香穂さん…」
「………」
「…香穂さん…寝てる?」
「…すぅ……」
「………」
今日は星奏学院の同窓会があって、僕は今までその同窓会に行ってた。
帰ってくると、リビングにあるソファーの上で、香穂さんが眠ってた。
「……待ってて、くれたの…かな?」
香穂さんのことだから、僕が帰ってくるまで起きてるつもりだったんだろう。
今の時刻は23:45。
本当は、もっともっと早く帰るつもりだったのに、いろんな人に捕まってしまって、結局こんな時間になってしまった。
(……僕がもっと話すの上手だったら…早く帰れたかな…?)
僕は、言い訳が苦手だから、捕まってしまったのかな?
と考えながら、また香穂さんに声をかける。
「香穂さん」
「………」
やっぱり返事はない。
(……)
僕は最初、同窓会になんて行く気がなかった。
あの頃は音楽に夢中で、さして仲のいい友達もいなかったし、特に話すこともないと思っていたから。
でも、香穂さんが『せっかくなんだから』と参加するよう勧めてきたから、僕は参加することにしたんだ。
(…行かなきゃよかった…)
同窓会に参加した人たちには悪いけど、こんな所で眠って、香穂さんが風邪をひいたりしたらイヤだから、僕はそんな風に考えてしまう。
「…香穂さん」
「すぅ……」
「…風邪…ひいちゃいます。」
「…ん…」
香穂さんが仰向けに寝てた身をよじったから、香穂さんの寝顔が僕の方に向く。
「……香穂さん?」
「……けい…く…ん…」
香穂さんが眠ったまま僕の名を呼ぶ。
「?」
僕は首を傾げつつ、香穂さんの髪の毛に優しく触れる。
「……おかえ…り…けい…くん。」
「…ただいま。」
「…ん…」
「……」
どうせなら、起きてる時に言ってほしかったけれど…
「可愛い…」
僕の夢を見てくれてるならいいか、と僕は笑って香穂さんの額にキスを落とした。
そして、香穂さんをベッドに運んで僕も香穂さんの横で眠る。
「…おやすみなさい、香穂さん。」
僕は眠りにつく前に、
朝目覚めたら、もう一度あなたにキスを落とそう。
と決めた。