未来予想図
□愛しい気持ち。(土日)
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お前に出会えたのは奇跡だ。
なんて言ったら、お前は笑うんだろう。
でも本気でそう思ってるんだぜ?
大人の理不尽さに絶望して、音楽から離れて。
もう二度と人前でピアノを弾くことはないだろうと思っていた。
それなのに、お前みたいな奴が現れて。
戻ってきてしまった。
音の世界に。
正直、最初は俺と同じ普通科のお前が音楽科の奴らをブチのめしてくれたなら、俺のこの気持ちが少しは晴れると思って、お前に声をかけたんだ。
けれど、お前に関わるにつれて、ただ応援するだけじゃなく、
“お前と一緒に進みたい”
“お前と同じ所にいたい”
…そう思うようになった。
自分でも不思議に思ってる。
俺がこんなに人を好きになるなんて。
ま、こんなこと誰にも言えないけどな。
「…とぉちゃー?」
「梁太郎ー?」
本当に、俺は満たされている。
「とぉちゃー?」
「……ぐっすり寝てる…。」
お前に出会えて。
ピアノに戻れて。
そして…
「…とぉちゃ、ねてゆ?」
「うん…寝てる。静かにしてようか。」
「あい。」
お前との子供に出会えて。
これ以上ないってくらい、幸せだ。
「ん…」
「かぁちゃ!とぉちゃ、おっきした!」
「え?」
「…か…ほ…」
「梁太郎?起きた?」
「愛してる…」
「!!??」
「すー…」
「?かぁちゃ?」
「…っ…この人は〜〜…」
俺がお前に出会えたのは奇跡で、お前と心が通じ合えたのも奇跡で。
もしかしたら、お前にこんな感情を抱いたのも、奇跡かもしれない。
…いや、これは必然的な運命…か。
なんてな。
「…寝てる時に言うなんて…反則。」
「?とぉちゃ、わるいことした?」
「うん。とーっても心臓に悪いこと。」
「!!ぼくがとぉちゃ、めっ!する!」
「あははっ、ありがとー♪…でも、いいの。」
「?」
「起きたら仕返しするから。…“私も愛してる”って。」
お前を心から愛しく思うこの気持ちは、
いつまでも変わらない。
END