未来予想図
□悪くない一日(金日)
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「そう思いますけど?ハイ、どうぞ♪」
香穂子は話しながらも手を休めることなくコーヒーを2つ入れ、俺に片方のカップを差し出す。
「あぁ、ありがとな。」
「いえ♪」
そして、俺がカップを受け取ると、自分もカップに口をつけた。
「女の子は父親に似ると幸せになれるって、よく聞くから嬉しいです。」
「…お前さん、いくつになっても可愛いなぁ。」
「…へっ?!」
「ん?」
「なっ…何言ってるんですか…。」
「今思ったことを言ったまでだが?」
「…私、洗濯物取り込んできます。」
「ははっ」
香穂子は照れながらリビングを後にした。
「さて…そろそろ布団に移す…かっ?!」
香乃を移動させるべく、足に力を入れたら、痺れが走った。
(…これは…)
(香穂子…まだか?)
「はぁ…香乃…そろそろ起きろー…。」
そう呟いた瞬間
「紘人さーん」
香穂子が戻って来た。
「さっき、お隣の春日さんからお菓子貰っ…まだその体勢だったんですか?」
「あー…起こしづらくてな。香穂子、香乃動かしてくれるか?」
「はいはい。」
香穂子が俺の膝の上の香乃を抱き上げる。
「あ〜…サンキュ。」
「紘人さん、香乃にかけてたそのお布団、ここにひいてくれますか?」
香穂子はそう言って足元を足先で示す。
「おー…わかっ…!!」
「紘人さん?!」
ソファーから降りた瞬間、ガクリと倒れ込んだ俺。
「あ…足が…」
「…あー!痺れてるんですね?!すみませんっ!」
「いや…いい。」
俺はなんとか上半身だけを起こして、毛布を床にひく。
「あ…ありがとうございます。」
「…あぁ…。」
香穂子は香乃をその上に寝かせると、香乃を挟むように、俺・香乃・香穂子で川の字になるように寝転んだ。
「…何やってんだ?」
「私も一緒に寝ようかと♪」
「俺はもう充分寝たんだが。」
「えー?」
香穂子は笑いながら香乃を撫でる。
「えー、じゃない。」
「紘人さんだけズルイです。」
「ズルイってなー…」
「でも、起こさないと夜眠れなくなっちゃいますね。」
「…だな。」
その後ちょっとして、香乃を起こして、3人で夕飯を買い物に行って。
夜ベッドの中で一日を思い返して。
“せっかくの休日なのにほとんど寝てた気をするな”と思って…
“でも悪い一日じゃなかった”と思った。