キリリク

□淫らな君のその瞳
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「なぁヒロト…」


髪から耳、頬へと、輪郭のラインをなぞるように手を滑らせれば一瞬だけ普段のヒロトの声とはかけ離れた、まるで女子のソレのような声をヒロトはあげた。
か細く甲高い、その声に背筋がゾッとして、そして次の瞬間、無性に聞きたくなった。
いや、言わせたくなった。

俺を求めるヒロトの声が。


「ヒロトは俺のこと好きだよな…?」
「えっ!?ぁ…ぇと……」


照れているのか恥ずかしいのか、俺から視線を逸らしつつ目を泳がせるヒロト。
唇は忙しなく動くのに聞こえてくるのは「う〜…」だの「そのぉ…」だの言葉としては不十分なものばかりで、一向に俺の望む言葉は出てこないことに段々と俺は苛ついてきてしまった。


ヒロトは気付いていないんだろうけど…そういう自分だけが汚れなんて知らない、綺麗なんだとでも言いたげな反応が俺の琴線に触れるんだよ。
何かが、俺の中で首を擡げ始めていく。声をあげて暴れそうだ。


「言えるよな?…ほら、それとも本当は俺のことなんてどうでもいいから言ってくれないのか…?」
「そんなことないっ!!…でも俺…恥ずかしいよ…」


消え入りそうな声でそう言いつつ首を横に振るヒロトにさらに苛立ちは募る。

何だよ。焦れったい。
だったら何でそんな目でいつも俺を見るんだよ。
そんな、明らかに期待してるって欲に濡れた瞳をしているくせに。

柄にもなく相当苛立っていた俺はヒロトの緋色の髪を掴み乱暴に目の前にまで引き寄せた。
眼前いっぱいに驚いたようなヒロトの表情が広がる。
翡翠の濡れた瞳。
今は潰してやりたいくらい憎い。


「俺が言えって言ってるんだぜヒロト」
「えっ…円堂君?ヒァッ!?っ…痛ぁ…」


赤く熟れた頬に遠慮なしに噛み付いてやる。
想像していた中じゃそれはもっと甘いのかと思っていた熟した林檎のようなその頬。
でも実際はただ熱くて柔らかいだけで、期待外れもいいとこだったけど。


ゆっくりと、もう一度見据えるようにヒロトの目を覗き込んだ。
その奥にあるものすら見えるように。


「言え」


それはお願い、なんて可愛いものじゃない。
絶対的な命令。
普段の俺じゃ有り得ない、明確な意志を宿したその言葉に反応するように一際大きくヒロトが震えた。

…でもそれはきっと期待からだろ?
だって、俺は見逃さなかった。

ヒロトの翡翠が青い焔を纏って淫らに揺れたことを。


「――は、ぁ…」


悩ましげな吐息がヒロトの唇から漏れた。
その様子を見て思う。

あぁ、なんて浅ましくて、可哀想で、罪深い。
そんなお前だからさ、ヒロト。
暴いてやるよ。お前の瞳に隠したもの、全部。
そんなに俺が欲しいなら、俺にサッカー以外で興味を持たせた責任としてそのやらしい胸のうちを全て曝け出させてやる。

なぁヒロト…それをお前も望んでいるんだろ?


「す…、好き…好きだよ…、好き…円堂君…好き…」
「―ハハッ…よくできました」
「円堂くっ…!」


俺の言葉に従ってうわ言のように繰り返すヒロトの唇を強引に塞いでやった。

なんだ…赤い頬よりこっちの方がずっと甘いじゃないか。



淫らな君のその



そうだ、俺知ってるんだぜ。
ヒロトみたいな奴を世間は何て言うのかさ。


ヒロト…お前みたいな奴はさ…




"インラン"




って、言うんだろ?






14000hitリクのふたば様に捧げます。

大変お待たせしてすみませんでした!><しかもリクエストに沿えているのかは微妙な仕上がりになってしまいました(汗)
お気に召されないようであればすぐに書き直しますので…!

では、リクエストありがとうございました。
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