キリリク

□面影と衝動と
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最近の俺は少し変なんだ。
というか、よく変な衝動に駆られてしまう。


「円堂くーん」


そしてその衝動は主にヒロトを見た時生まれるんだ。
特にこうやってヒロトが俺の方へと走ってくる時とか、ヤバイ。

すごく…したくなるんだ。

「あっちでシュート練習するから付き合ってくれないかな?」


近くまできてそう言って軽く首を傾げて訪ねるヒロトに我慢しよう、我慢しようって思うのに身体は無意識にヒロトへと腕をのばしてしまう。
あぁ、ダメだ。ダメだって俺…!


「…ッヒロトっ!」
「えっ?わっ!な、なに円堂君!?」


俺はのばした腕でヒロトを側へと引き寄せて―――思いっきり頭を撫で繰り回した。


「わッッ!?円堂君っ!?」


そう、そうなんだ。
最近ヒロトを見る度に生まれる衝動っていうのは…無性にヒロトの頭を撫でたくなるってことなんだよな。

それというのも原因は多分今のヒロトの髪型のせいだと思う。
今みたいに俺の方へと嬉しそうに走ってくる時とか、近くで軽く首を傾げて「一緒に練習しようよ?」とか言うたびにフワフワぴょこぴょこ揺れる髪を見ていると昔家で飼っていた愛犬のシュート(命名は俺!)が一生懸命に振っていた赤毛の尻尾とすっげー重なるんだ。
おかげで最近ヒロトを見るたびに頭を撫でてしまうからヒロトには迷惑かもしれない。
いや、多分迷惑なんだろうけど…ついやってしまうんだよなぁ…


「ぁ、あああの…えっ円堂君…また髪ッ!それに頭っ…!?」


俺がなおも頭を撫で回していると慌てているのか上ずった声を出すヒロト。
何度されても慣れないみたいで俺がこうするたびに顔を真っ赤にしてあたふたしてる。
ただでさえ白いヒロトの肌は赤くなるとほんとりんごみたいに真っ赤になるなぁ……って。

その真っ赤なヒロトの顔がシュートの赤毛に覆われた可愛い顔とダブる。
……あ、ヤバイかも。今度は抱きたくなってきた。
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