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□待ち合わせて待ちぼうけ
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最近は風が冷たくて頬にあたるたびに肌がピリピリと痛くなる。
吐いた吐息は白く曇って冬の寒空に溶けて消えた。

「守…遅い…」

今日は久しぶりに守とサッカーをする約束をしたから楽しみにしていたのに待ち合わせの時間が過ぎても守は来てくれない。

なにかトラブルでもあったのだろうか?
それとも…俺とのサッカーが嫌になったのかな…?

守に限ってそんなことはないって思うのに一分、また一分と時計の針が進むたびに不安が大きくなっていく。

早くきてよ守…
君に会うの、本当に楽しみにしてたんだよ。
昨日の夜なんて興奮したせいでなかなか寝付けなくて大変だったんだ。
それに君に少しでもよく見られたくて今朝は何回も鏡をみて身だしなみを整えてきたのに。

それなのに……

「守のバカ……寒いよ…」

思わず愚痴をこぼした時だった。

前方からもの凄いスピードでこっちに近づいてくる人影が見えた。
特徴的なオレンジのヘアバンドに小脇に抱えているのはサッカーボールで…

「ヒロト――ッ!!」

遅い。本当に遅いよ。

こんなに身体は冷えちゃったし、髪も風に吹かれてボサボサだし。

言いたいことは山ほどあるけど、とりあえず今は待たされて冷えた身体をあたためてもらおうと俺も全力で地を蹴った。



『待ち合わせて待ちぼうけ』



ちゃんと俺が駆け寄ったら抱き締めてくれたから今日の遅刻は許してあげるよ。

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