漫画ラブレスパロ
超ツナ白蘭/ディーノダメツナver



「ねぇつなチャン。初めから勝敗の見えてる試合なんて、する意味あるのかな?」

「う…っ」

「怖じ気付くなツナ!お前には俺がついてる!」

「ディーノさん!で、でも…っ」

「そう。弱虫つなチャンじゃ何も出来ないよね。もう一人の強い君は僕の手の中だ」

白蘭の腕の中に、もう一人の綱吉が佇んでいる。
強い瞳を持ち、死ぬ気の炎を自在に操るもう一人の綱吉。
綱吉の誇れる部分を全て持って、白蘭に連れていかれてしまった片割れ。

「ただの弱虫な君が、本気で僕たちに勝てるだなんて思ってるのかな?ねぇ、綱吉クンも可哀想な片割れに何か言ってあげなよ」

「…綱吉。無駄な足掻きは止せ。お前たちじゃ俺たちには勝てない。早くお前も白蘭様の処に来い」

「っ、」

「駄目だツナ!耳を貸すな!」

震えることしか出来ない綱吉の耳を塞ぐように、ディーノがそっとその小さな体を抱き締める。

「大丈夫だツナ。俺が白蘭を倒して、もう一人のお前を取り戻してやるから。ツナを傷付けないように闘うから心配なんかすんな!」

「ディーノさん…」

ディーノの暖かい手に頬を包まれてはっとする。
自分の弱さのせいで、こんなにもディーノを追い詰めてしまっている。

攻撃をするディーノと、攻撃を受ける綱吉。
2人で戦わなければ勝てる訳なんてないのに、ディーノは全てを1人で背負い込もうとしている。

そうさせている弱虫な自分が、悔しくてたまらなくなった。

もう、弱虫でなんかいられない。
強くならなきゃいけないんだ。

綱吉は拳をキツく握り締め、立ち上がった。

「白蘭…っ、俺は、闘う!ディーノさんと一緒に闘って、勝ってみせる!」

「ツナ…!」

まだ体は震えていたけれど、ディーノに微笑みを向ければ、いつもの爽やかな笑顔が返ってきて元気をくれる。

「アハハ。イライラするなぁ。君は僕のものなのに、他の男と闘うだって?…ねぇ、許さないよ」

笑顔の仮面に苛立ちを隠した白蘭が、腕の中の綱吉の顔を上向かせてその唇を貪った。
急なことに硬直するディーノと隣の綱吉を他所目に、2人の口付けは深く長く行われる。

「あの2人はせいぜい手を握った位だろうけど、僕たちは違う。一つに繋がった僕たちの絆の深さ、見せ付けてあげる」

唇を重ねた綱吉の強い瞳の中に揺らぐ色情。
それを見つけて、白蘭が嬉しそうに綱吉を抱き締めた。

「綱吉クン、本気で行くよ。僕のために頑張れるよね?」

頬を撫でながら囁くと、腕の中の綱吉が大きく頷く。
仮面を外した本当の微笑みで、白蘭はまたその体を強く抱き締めた。

「可哀想なつなチャンは、取り戻したらたーっぷり躾直してあげようね」

「来るぞ、ツナ!」

「はい!俺はもう逃げません。必ずもう一人の俺を白蘭から取り戻してみせます!」

ディーノと繋いだ手が暖かい。

きっと、今ならどんな攻撃にも耐えることが出来る。
自分のため、ディーノのため。

その瞳に、綱吉は目の前の自分と同じ強さを宿していた。



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