Short Novel

□Uphill&Downhill
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1 発端

いつもどうりの月曜日
いつもどうりの朝
いつもどうりの通学路
いつもどうりの教室
いつもどうりの全校集会
―――、になるはずだった・・・。

いつもどうりの体育館
いつもどうり皆はうるさくて
いつもどうりDTO先生がやってきて
いつもどうりに怒鳴りつけずに

「静かにしろ。」

と一言。

だけど、皆、そんな小さな声聞こうともしないで、
いつもどうり皆はうるさくて。
だけど、しばらくすると誰かが気がついて、あの人がいないことを皆に言う。
字のへたくそな国語の先生、
俺の部活の顧問の先生、
俺のクラスの担任の・・・・・・・・

「皆さん。」
――、いつもどうりの校長の一言に、皆がいっせいに前を向く。
「突然の全校集会に、驚いているかもしれませんが
皆さんに、大切なお話があります。」

周りが一瞬騒ぎ出し、すぐに静かになる。
「皆さんの中には昨日(日曜日)、この近辺で、自転車とトラックの
衝突事故があったのを知っている人がいるかも知れません・・・。」


変な間ができる。


校長が何かを言うのをしばらくためらう。
周りの皆も気がついている、
〈やっぱり今日は何かおかしい〉
その時、

「校長先生・・・。」

保健医の容子先生が口を開く。
悲しそうな、今にも泣き出しそうな顔で。
けれども“何か”を急かすように・・・。

「すみません。」


校長も謝罪のために口を開く。
そして、今日がいつもと変わってしまう大きな一言を、
小さな声で、ゆっくりと話し出す。
「―――、実は、その自転車に乗っていたのは、数名も気がついているでしょうが、
ここにいない青森先生です。」

何人かの生徒が
「入院したのかな?」
といった。
ここで皆が騒ぎ出す。いつもと違ってイヤな雰囲気。
だんだん声が大きくなっていくと・・・

「静かにしろ!!」

DTO先生が、さっきとはうって変わったもの凄い声で、そして次は、
これまでに無いくらいの小さな声で

「きちんと最後まで聞け。」

と言った。
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