Short Novel

□〜Occur Blue〜
1ページ/1ページ

この間、二人で海へ行ったっけ。僕のバイクの後ろに君を乗せて。
どこまでも広い空と君を愛しく思う僕、
キラキラと光る青い海を愛しく思う君。
何もすることはなくても、君といることだけが僕にとっての幸せ。
―――、君は海へと走り出す。
すれ違う思い。
別の世界を駆け巡る二人の心が重なり合うことはないのかな・・・。
たとえそうだとしても、僕は君だけを連れて行こう。どこまでも青い僕の空。
僕たちだけの思い出を探しに行こう――――――。


〜Occur Blue〜


僕は寮の中の誰よりも早く起きて海へ向かう。朝の空気を吸いに。
両親と一緒に過ごしていたときは、いつも、兄さんや母さんが僕を起こしに来てくれた。
だけど、そこから遠く離れた『ここ』飛行設計・訓練所では起こしてくれる人は誰一人としていない。
ここに来てもう2年にもなるけれど、僕はいまだに孤独を感じている。
・・・。そんな気持ちを少しでもかき消すように、と、僕は毎朝この海から昇る朝日を見に来る。
あのオレンジの光はほんの一時だけ、『それ』を消してくれる。―――一時だけ。
そして―――、また―――、今日もまた『あの空』を目指して寮へ戻る。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ