時間を越えて

□-ある日の出来事-
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もう生きてる意味なんて無い…



夜の高層ビルの屋上に、一人の男が立っていた。


あの時…何で気づけなかったんだろう。何て無力だったのだろう…。



柵を乗りこえ、下を見る。


車のライトや他のビル等の光が綺麗に放っていた。


「待ってて…。今から、行くから。」


男は飛び降りようと決心した。


だが、その行為を誰かにはばかれる。



「そんなに彼女が死んで悲しいの?」


男が声のした方を見ると、異様な女の子が立っていた。



異様と思った理由は、服装が変わっていたから。


その服装は、一般に言う魔法使いの格好だった。

あいにく、この世に魔法なんて物は無いのだが…。


「当たり前の事を聞くんだな…。」

異様に感じながらも、答えた。


女の子は、男の顔を見た。

今までは帽子のせいで顔が見えなかったので気づかなかったが…


可愛いな

男は、そう思ってしまった。


その女の子は、身長が140あるか無いか位。容姿は可愛い方で、見た目からは中学二年生位だった。


「そぅ…。」

女の子はそう言うと、男に近づいた。


「ねぇ、もし彼女を生き返らす事が出来るとしたら…どうする?」


変な事を言うんだな…

男はそう思いながらも、何でこんな事になったかを思い出していた。
















ピピピ ピピピ


部屋に目覚ましの音が響き渡る。


「んあー…」


そのうるさい音を止めると、俺はベッドから起き上がった。


「んー…眩しいな。」

部屋に射し込む太陽の光に目が覚めてしまった。

「6時30分か…」


俺はベッドから降り、着替えるとリビングに向かった。

俺の部屋は二階にあるため、階段を降りた。


「おはよー。」


リビングに入ると、母さんが朝食を作っていた。

「あんた、今日から高3でしょ?しっかりしなさいよ。」


何でそんな事を言われなきゃいけないんだ?

「んー…」


そう思いながらも、洗面所に行き顔を洗った。

スッキリしたなうん。

リビングに戻り、椅子に座る。

不意に向かいに座ってる人にビックリして、声が出なかった。


「えーと…何でいるの?」


「なんだ良助、私がいたらいけないのか?」

こいつは、森美 咲(もりみ さき)

一言で言うと、彼女なわけで…。


いや、今はそんな事を言ってる場合じゃなくて…

「朝早くから何で俺ん家にいるんだ?」




「うん、遅刻をしないように起こしてやろうかと思ってな。まぁ、心配はなかったな。」


咲は俺を見てにっこり笑った。


母さんが朝食を持って来たので、それを食べると洗面所に向かい、歯を磨いた。


「良助、行くぞ!」


玄関から咲の声がしてきた。

「ちょっと待っててくれ。」

俺は自分の部屋に行くと、鞄を持ち財布を入れた。

携帯は、ポケットの中に入れる。


「忘れ物は…よし、無いな。」

忘れ物が無いか確認すると、時計を見た。


今の時刻は7時

高校が始まるのは8時からだし、家から高校までは30分かかる程度なので、余裕だ。


「遅いぞ?」

階段を降りると、咲が玄関で髪をいじりながら言ってきた。

可愛いな…俺の彼女は。


「どうした?気持ち悪いぞ?」

思わずニタニタしてしまったからな。
でも、少し傷ついた…


「ほら、行くぞ?」


そう言うと、俺の手を握ってきた。


あぁ。幸せだ。


俺達は、高校に着くまで手を握って登校した。

ちょっと恥ずかしいが、こんな可愛い彼女と手を繋いで登校するという優越感に浸っていた。


高校に着くまでの道のりの最中、咲と何気ない会話をしていたらすぐ着いてしまった。



靴を脱ぎ上履きに履き替えると、クラスに向かった。

「良助、クラスは何組だった?」



「C組だった。咲は?」


「……………B組」

咲は悲しそうに言った

「そっか…。離ればなれだな。」


「うん…寂しくなるな…。」



そんなに俺と離れて、悲しいのか?

クソォ…咲を悲しますなんて…。神様はいじわるだな。


「仕方ないさ、休み時間には会えるんだからそう落ち込むな。俺は笑ってる顔の咲の方が好きだぞ?」


俺は笑って、咲に言った。


「そうか…。そうだな!」


咲は、俺の顔を見て笑った。


何回見ても反則的な笑顔だ。

この笑顔で、戦争を止められるんじゃないか?

何て事を考えていると、クラスに着いてしまった。

「良助、また後でね。」


「おう。」


咲は、クラスに入っていった。それを見送ると、俺も自分のクラスに入った。


席を探し座ると、知ってる顔がこっちに近づいてきた。


「よぉ、元気が無いな良助。」



「そうか?」
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