時間を越えて

□-ある日の過ち-
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「はぁ…はぁ…」

や…やっちまった…し…知るか!

全部…全部あいつが悪いんだ!

俺は…俺は悪くない!

路地裏から一人の男が逃げるように、立ち去った。
















「えーこちら東山警察、日の丸商店街の路地裏にて男性の死体を発見。名前は高山 翼、高校二年、高校は東山第一高校。」


路地裏には、警察が何人もいた。

「警部」

一人の男が警部と呼ばれた人に近づく。


「竹下、どうした?」

竹下と呼ばれた男は、死体を見た。

「殺しですかね?」

「だろうな。」


警部は、煙草に火をつけた。


「被害者は争った形跡があるからな。」

死体の胸にはナイフが刺さっていた。


「警部、被害者の下にこんなものが…」


鑑識が、何かを見つけてきた。


「生徒手帳だな。」


警部は、生徒手帳を開いた。

「斉馬 博貴(さいま ひろき)か…」










東山第一高校


二年四組



「なぁなぁ、今日のニュース見たか?」


「あぁ、翼が殺されてたって…」


「なんか今日、これから体育館に集まって前項集会をやるんだってよ」


「そうなのか…で、誰が殺ったんだろうな?」


「馬鹿、分かるだろ?」


二人は、一人の男を見た。

その先には、斉馬 博貴が席に座っていた。


「なに見てんだよ?」

「い…いや!何でもないよ!」

「ビビった…」


睨まれた二人は、博貴から離れた。




くそっ!何で一日で見つかるんだよ!?


博貴は、爪を噛んでイライラしていた。


大丈夫だ…大丈夫。指紋は拭いたし何の証拠も残してない、絶対に大丈夫だ。


教室がざわついてると、先生が教室に入ってきた。


「お前達、今日のHRは無しだ!体育館に急げ!」


体育館に、全学年が集まった。


色々な話をしたあと、今日の学校は中止になり、帰らされた。


学校の外を出ると、テレビ局の見たことあるキャスター達が群がっていた。

出てくる生徒達に対し、何かを聞こうとカメラをまわしながら話しかけてくる。


俺は、捕まる前に家に走って帰った。






家に帰ると、着替えないでベッドに倒れた。

大丈夫だと思っていても、心臓がバクバクしている。

「くそっ!何で俺がこんな目に!全部翼のせいだ!」


今日はそのまま寝てしまった。












次の日


目覚めは最悪


「くそっ」



苛立ちが消えない。

嫌な気持ちになる…


顔を洗い、歯を磨くと、何も食べずに家を出た。


少し歩いていると、コートを着た40代位の人とスーツ姿の青年が話しかけてきた。


「斉馬 博貴君だね?」

コートの人がそう言ってきた。


「はい…どちら様ですか?」


「我々は、こういう者です。」


二人は、警察手帳を見せてきた。


け…警察!?

まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい


「ちょっとお聞きしたい事があるので、少しお時間よろしいでしょうか?」


や…やばい!


ここでついていけば確実に捕まる!


「う…うわぁぁぁぁ!!」


来た道をダッシュで戻る。


「まずい!捕まえろ!」

追いかけてくる。


まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい捕まる捕まる捕まる捕まる捕まる捕まる捕まる


そう何度も思いながら、全力で走った。


どんだけ走ったかは覚えていないが、後ろを振り返ると警察はついてきてなった。


ま…巻けた。


息を整えると、街をふらふら歩いた。

学校に行くのは危険だ。家に帰るのもまずい。


「どうしよう…」


人気の無い場所に行くと、しゃがんだ。


これからどうするかを考えていると、不意に誰かが話しかけた。


「大変だったね。」


顔を上げると、魔法使いの格好をした女の子が立っていた。


「だれ?」


「私?私はミカ。」


「こんな所で何してるの?」

暇だから、この子と話してみよう。


「それは君もでしょ?」


うっ……


「はは、それもそうだね。」



楽しい気分になりかけていた俺だったが、次の言葉でまた嫌な気分に戻った。




「高山翼君を殺しちゃったこと…後悔してるの?」

!?


今…この子なんて言った……?


何でその事を、初めて会った子が知ってるんだ?

「今……何て言った?」

確認してみる。


「翼君を殺しちゃったこと、後悔してる?」


間違いない!この子、俺が翼を殺した事知ってやがる!

「何で……その事を?」
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