時間を越えて

□-ある日の選択-
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そして…



哲平は拾ったナイフで、残りの三人の喉元を裂いた。


ブシュー!


血の吹き出る音が、室内に響き渡る。


「哲…平?」


私は、なにが起こったのか分からなかった。


「まさか美佳が助けに来てくれるなんて思わなかったよ。」


左手にナイフを持ち替え、私に近づいてきた。

「イライラしてたんだ…だってムカつくんだもん、コイツら」


哲平は、人ではなくなった物をみた。

「それに…」


そう言いながら、哲平は私が持っているナイフを奪い…


「君もね!」


「!!」


その時はもう遅かった。


私のお腹には、私から奪ったナイフが刺さっていた。


「うがぁ!」


私はその場に倒れた。


「ムカつくんだよ!くたばれ!」


そう言い残すと、哲平はどこかに行ってしまった。






















「報われませんね。」


ここは…


一面真っ白な世界に私がいた。


そうか、ここが天国か…。


「いいえ、違いますよ。」


聞き覚えのある声がした方を見ると、未来さんがいた。

「未来…さん?」


「はい、私です。」


一体どうなっているんだろう?

私は死んだはずじゃ…


「あなたはまだ、かろうじて生きています。」


「本当ですか!?」


「えぇ…ですが助からないでしょう…。」


「そんな…」


「でも助かる方法が一つあります。」


希望はまだあった…


「本当ですか!?」


「えぇ、ただし条件が一つ。」


「条件?なんですか?」


生き返るなら、どんな条件でもうけるわ!


「人間を棄て、私達側になるのよ。」


え…?

人間を…棄てる?


いまいち意味がわからなかった。


「どういう事ですか?」


「そうですね…簡単に言うなら、私と同じ力を持つ者になればよいのです。」


「はぁ…」

理解はした…でもいまいちわからない。


「今度はあなたが人々に救いの手を差し伸べる番です。」


「そ…そんなの無理ですよ!」


私は、びっくりしておどおどしてしまった。


「大切だった人に裏切られた貴女なら出来ます…私はそれを信じてます。」


「未来さん…」

「どうしますか…?」


「私…なります!」


「…わかりました。では、私の力を差し上げましょう。」


未来さんがそう言うと、私の周りに魔法の世界でよく見かける、魔法陣?みたいなのが私の真下に現れた。


ん…?

今未来さん…差し上げるって言った?


「あの…未来さん? …今、差し上げるって言いました?」


「えぇ、分け与える‥と言うことは出来ません。私の力を貴女に与えることで貴女は力を得るのです。」


「力を私に与えたら、未来さんはどうなるんですか?」


「私は消えます。」


消える!?

そ…そんな事!

「私聞いてないです!」


「大丈夫ですよ…消えると言っても、天国に行くだけです。人々を…救ってあげてくださいね?」


「ま…待って―――



私は、強い光に包まれた…


















「未来さん…」」


なんか…昔の事を思い出しちゃったな…

そう…あの時に未来さんが言ってたこと…


『人々を…救ってあげてくださいね?』


だから私は決めたんだ…この力で、人々を救うって!


私はビルから降りて、未南希市の街を歩き出した。


すると、目の前に私の知っている人が歩いてきた。



ドクン



「うそ…」


ドクン


「なんで…」


ドクン


「なんでここにいるのよ!」



「お前…生きてたのか…そうかそうか……久しぶりだな!?美佳?」


歩いてきたのは……哲平だった…
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