鬼円
□彼の海に溺れる
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「円堂、帰るぞ」
「お、おうっ!」
いつものように鬼道の左側を歩く。
一緒にいるだけで満たされるはずだった。
なのに、何なんだろう、
この不安は。
「鬼道、好きだぜ」
「…///」
分かってた。
俺が勇気を出したって、鬼道は黙って頬を染めるだけ。
「鬼道はさ、俺のことどう思ってんの?」
「っ!?」
ゴーグルの上からでも鬼道の目は丸く見開いているのが分かった。
「…そんなこと、言わなくても分かっているだろう」
鬼道は少しどもった。
それから握った手に少し力を入れて
「好きだ、円堂…///」
呟くように言ってくれた。
俺は思わず、弱々しげな笑みをこぼす。
がばっ!
瞬間、視界が揺らいだ。
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