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□夕暮れ狼
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町はずれの夕方だった。
「…ちょっとみくびったかな、はは」
雑踏に倒れこんだ俺はビルの窓に映るオレンジ色の雲を眺めながら笑っても全然面白くない独り言を言った。
向かいでぶっ倒れていた大男はさっき仲間に連れて行かれた。
良かったね、あんたら仲良しさんがいてさ。恥ずかしくねぇのかよ。
ちょっとぶん殴られた位で肩を借りて。
「…」
めんどくさくなっちゃった。
もう当たりもすぐに暗くなるだろう。
そう思ったすぐ後の出来事。
俺が牙をむく十秒前。
夕暮れ狼
「猿飛君・・?」
「・・・・」
何の用だと言わんばかりにその男は笹川を見た。
笹川は良かれと思って声をかけたのに、どうやら本人には余計なお世話だったらしい。
しかしもう声は掛けてしまったのだから、これは最後までやり過ごすしかないではないか。
「怪我してるみたいだけど・・」
笹川はおそるおそる尋ねる。
しかしそれさえもうっとおしそうにぎろりと笹川のことを人睨みする。
それからゴミ箱を蹴って大きな音を挙げて見せた。
猿飛佐助はもうここまですれば、彼女はここを立ち去るだろうと踏んでいた。